研究課題/領域番号 |
24590023
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
伊藤 久央 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (70287457)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 生理活性物質 / 全合成 / 不斉合成 / 天然有機化合物 |
研究概要 |
当プロジェクトでは,2種の特異な骨格を有する天然有機化合物について,分子内アルドール反応を駆使した戦略に基づき全合成法の確立を目指すものである.平成24年度はまず,2種の天然物のうちalbaflavenoneのラセミ体での全合成法について検討を行った.その結果,シクロペンタン環を中心とし,側鎖に3つのケトンを有する化合物をアルドール反応の前駆体として合成した.このものに対し,分子内アルドール反応を2回にわたって行うことにより,三環性骨格の構築に成功した.さらにアルドール反応の条件,すなわち酸塩基触媒と反応溶媒を精査したところ,シクロペンチルメチルエーテル中,LHMDSを塩基として用いて1段階目を低温で行い,そのまま還流温度に昇温することにより連続分子内アルドール反応が進行し,一気にalbaflavenoneの特異な三環性骨格の構築に成功した.ここで得た化合物に対して立体選択的な水素化を検討し,分子内アルドール反応を基盤とする高効率的なalbaflavenoneの立体選択的全合成に成功した.これにより,albaflavenoneの合成に関する24年度の計画は完全に達成した.現在,不斉合成について検討を進めている. また,同時にもう1種の天然有機化合物aberraroneの全合成についても検討を開始した.平成24年度はaberraroneの持つ4環性骨格のうち,2環性骨格の構築について検討を行った.シクロペンテノン誘導体を出発物質とし,2環性骨格構築について種々のアプローチを検討したところ,閉環メタセシス反応を駆使することにより2環性骨格構築に成功した.現在,合成した2環性骨格に対し,3番目と4番目の環構築のための官能基導入と,そこで得た化合物の分子内アルドール反応による環構築について検討を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
分子内アルドール反応を駆使した2種の天然有機化合物の全合成法の確立を目指し検討を行った.その結果,albaflavenoneについては,連続分子内アルドール反応による3環性骨格の構築に成功した.ここで得た生成物に対し,立体選択的水素化を検討したところ,ラセミ体でのalbaflavenoneの全合成を達成した.現在は次の課題である不斉合成について検討を進めている. また,もう一方の天然有機化合物であるaberraroneの全合成についても,当初の予定であった2環性骨格の構築を達成し,分子内アルドール反応による4環性骨格構築のための検討をすでに開始している. 上記に示したような理由から,当初の計画以上に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
Albaflavenoneの全合成法の開発については,平成25年度は不斉合成の検討を行う.すでに確立したラセミ体での全合成経路の初期に,不斉触媒を駆使したエナンチオ選択的細見櫻井反応を行い,その後すでに確立したラセミ体での全合成法に従い,albaflavenoneの不斉全合成達成と,天然型albaflavenoneの絶対立体配置の決定を行う. Aberraroneに関しては,すでに構築に成功した2環性骨格に対し,分子内アルドール反応に必要な側鎖を立体選択的に導入した後に,鍵反応である分子内アルドール反応を駆使して4環性骨格の構築を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に使用する予定となっている科学研究費は,すべて消耗品代として使用する予定である.すなわち,有機化学反応を行うための試薬,溶媒,フラスコ,器具等,また反応終了後の物質の精製に用いるシリカゲルや溶媒等の購入に研究費を使用する.
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