研究課題/領域番号 |
24590027
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
小池 一男 東邦大学, 薬学部, 教授 (30130363)
|
研究分担者 |
李 巍 東邦大学, 薬学部, 准教授 (90328633)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 薬学 |
研究概要 |
より副作用の少ない新規抗がん剤シーズの発見を研究目標として、ヤブコウジ属薬用植物由来のトリテルペノイドサポニン成分解析および生物活性の探索を行った。 ヤブコウジ(Ardisia japonica)は由来の20種の13,28-エポキシトリテルペノイドサポニンを用いて、MTT法によりヒト肝がん細胞および肝正常細胞に対する毒性を評価した。その結果、サポニン2と3は濃度と時間依存的に肝がん細胞に対して強い毒性を示した一方、肝正常細胞に対して毒性を示さなかった。構造活性相関を解析した結果、サポゲニン部および糖鎖構造は共にこの活性に関与し、13,28-epoxyおよび16-hydroxyは活性発現に不可欠な官能基である。サポニン2と3は肝がん細胞に対してG1とG2/M 期の細胞周期停止およびアポトーシスを誘導したが、正常細胞においては同様な作用は示さなかった。更に、化合物は肝がん細胞と正常細胞においてmRNAレベルでの細胞周期制御因子CDKsおよびcyclins に対して相違な作用を示した一方、肝がん細胞においてアポトーシス促進タンパク質caspase-8の発現と活性化を促進し、抗アポトーシス細胞周期調節因子Cdc25Aの転写と翻訳レベルを減少させた。 一方、マンリョウ(A. crenata)根のサポニン成分について、LC-MSを用いた定性定量分析法の検討を行った。その結果,20分以内の分析時間で計24種のアルジシアサポニンを検出し、これら成分の化学構造をHPLCにおける保持挙動およびMSデータの解析より推定した。更に、マンリョウ根中の6種のサポニン成分について絶対定量分析法および相対定量分析法を確立した。各成分の検出限界濃度は0.2-1.5ng/mLであった。本法を市販生薬の分析に適用試験に適用したところ,効率的にアルジシアサポニンの分析が可能であった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は既存成分の活性評価により活性成分の同定が出来、さらにLC-MS法による成分分析法を確立できたため、予定通りの実験結果が得られている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は2つの方向で研究を推進する予定である。1、LC-MSを活用する新規微量サポニン成分の単離、構造決定を行う。2、既知活性成分の化学誘導体の作成を行い、構造活性相関の解析を行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は既存成分の活性評価および成分分析法の確立を中心に展開していた。24年度は研究は計画通りに進展しているが、植物採取に使用する人件費および成分解析に使用する物品費を抑えることができたため、残額が生じた。この残額は25年度の研究費とあわせて、微量成分単離、構造活性相関解析など実験に使用する物品費、学会参加の旅費、および植物採取に発生する謝金に使用する予定である。
|