研究課題/領域番号 |
24590027
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
小池 一男 東邦大学, 薬学部, 教授 (30130363)
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研究分担者 |
李 巍 東邦大学, 薬学部, 准教授 (90328633)
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キーワード | 薬学 / 抗がん剤 / サポニン |
研究概要 |
肝がん細胞の化学療法剤に対す耐性、ならびに化学療法剤の毒性など化学療法における肝がん治療の大きな問題点である。我々はより副作用の少ない新規抗がん剤シーズの発見を研究目標として、今回ヤブコウジ科ヤブコウジ属植物由来のサポニン成分(アルジシアサポニン)が化学療法増感剤として効果を有することを明らかにした。 アルジシアサポニン化合物ライブラリーのヒト肝がん細胞における化学療法増感活性を評価したこところ、ヤブコウジ(Ardisia japonica)から単離されたサポニンcyclaminはヒト肝がん細胞株 Bel-7402 およびHepG2 細胞において化学療法剤5-fluorouracil (5-Fu)、cisplatin (DDP)およびepirubicin (EPI)に対して強い化学療法増感活性を示した。しかし、非腫瘍性細胞株HL-7702においては化学療法剤の毒性の増加は認められなかった。更に、cyclaminは相乗的に5-FUのアポトーシスおよび細胞周期停止の誘導効果を高めた。乳酸脱水素酵素(LDH)放出アッセイにおいてはcyclaminがBel-7402細胞の膜透過性を増加し、癌細胞への薬物の浸透を促進したことを示唆した。これら知見によりcyclaminの化学療法増感剤としての利用が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の研究結果に踏まえ、今年度はアルジシアサポニンの既存抗がん剤との併用効果を確認できたため、予定通りの実験結果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は2つの方向で研究を推進する予定である。1、LC-MSを活用する新規微量サポニン成分の単離、構造決定を行う。2、既知活性成分のin vivoの活性評価。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は既存成分の活性評価を中心に展開していた。24年は研究は計画通りに進展しているが、植物採取に使用する人件費および成分解析に使用する物品費を抑えることができたため、残額が生じた。 25年度に生じた残額は26年度の研究費とあわせて、微量成分単離、in vivo実験に使用する物品費、学会参加の旅費、および植物採取に発生する謝金に使用する予定である。
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