研究課題/領域番号 |
24590028
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
北中 進 日本大学, 薬学部, 教授 (40102553)
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研究分担者 |
中村 智徳 慶應義塾大学, 薬学部, 教授 (30251151)
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キーワード | 筋委縮性側索硬化症 / マクロファージ / アルツハイマー病 |
研究概要 |
筋委縮性側索硬化症(ALS)に対する有効な天然薬物としてレイシ(霊芝)がスクリーニングの結果挙げられた。抽出後、クロマトグラフィーにより分画し、抗酸化活性及びODAAP-EA毒性軽減活性を持つ画分から、レイシに見られる特異な8種のトリテルペンを単離し構造解析を行った。4種の化合物については、抗酸化活性を認めており、ODAAP-EA毒性軽減活性について検討中である。 中国産ベンケイソウ科植物 Rhodiola sacra S. H. Fu からこれまでにマクロファージの活性化を抑制(NO産生抑制)する化合物として2-phenylethyl gallateを報告しているが、これをリード化合物としてベンジルアルコール部のメチレン部を2から5に延長した4種の化合物を合成し活性評価を行った。その結果、今回、25種のアナログ化合物を合成し、NO産生抑制活性を評価した。その結果メチレン4個化合物に最も強い活性が認められた。現在gallic acid部位の水酸基の置換様式を変えた化合物の合成を進めている。 ヒカゲノカズラ科Licopodium属植物は、神経変性を特徴とする疾患、特にアルツハイマー病に対する有望な治療薬として研究が進められているが、台湾産のLicopodium serratum var. longipetiolatumについて成分探索を行い新規アルカロイドserralongamine Aを構造決定したが、アセチルコリンエステラーゼの阻害活性は認められなかった。他の成分について探索中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
筋委縮性側索硬化症、老化と関わりを持つアルツハイマー病の神経疾患に関わる生薬成分について予定通り進められている。また、慢性炎症疾患と関わりが深いマクロファージのNO産生抑制活性を持つ化合物についてRhodiola sacraから得た2-phenylethyl gallateをリード化合物としてアナログを合成し、メチレン鎖の長さによる構造活性相関を明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
生薬からの成分分離と生物活性評価を引き続き継続するが、これまで生物活性評価が、in vitroによる試験が主体であったが、これまでの試験を継続すると共にin vivo試験を行う。すなわち寿命に関しては、レイシや及びハクトウカから得た単離成分についてセンチュウを用いた寿命延長試験、脂肪細胞分化促進成分についてはマウスを用いてアディポネクチンに及ぼす影響について検討する。そのためには充分な試験サンプル量を確保するために、生薬からの成分分離と共に化学合成が可能な化合物は合成を行い進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
残額が2万円を切りカラム購入に満たなかったため、次年度繰越とした。 カラム機材を購入する。
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