研究課題/領域番号 |
24590032
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 明治薬科大学 |
研究代表者 |
川崎 知己 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (70161304)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 有機化学 / 合成化学 / 薬学 |
研究概要 |
(1) 2連続第四級炭素を含有する天然物chimonanthine、WIN 64821とcommunesin Fの全合成: 表題天然物の全合成研究における鍵合成中間体へのアプローチを検討した。2-ブチン-1,4-ジオールをo-ニトロヨードベンゼンとのStilleカップリング、インドリノンとの置換反応で2-アリル-3-インドリノンとした。これにオレフィン化後、異性化-Claizen転位で高ジアステレオ選択性に2連続第四級炭素を含有する3-インドリノンを得た。これよりラクトンを経由し、窒素官能基の導入、変換反応を種々検討したが、第四級炭素隣接位での立体障害が予想以上に大きく目的の変換反応を行うことができなかった。次に、第四級炭素の隣接位での変換反応を回避する方法として、天然物の環状骨格の一部を含有する2-アリル-3-インドリノンを用いる計画に変更した。対応する骨格を持つ2-アリル-3-インドリノンのオレフィン化は、異性化-Claizen転位をともなうジアステレオ選択的連続反応が進行し、目的の2連続第四級炭素をもつ3-インドリノンを得た。また、このタイプの連続反応の一般性を確立した。この3-インドリノンからラクトンの合成ができたので、現在窒素官能基の導入などを検討している。なお、chimonanthineの全合成はトリプタミンにチオニウム活性種を用いる別ルートで達成したので、communesin Fの合成を中心に検討を進める。 関連研究として2連続第四級炭素を含有化合物phenserine および5-N-acetylardeemin、roquefortineの誘導体合成と生物活性評価を行い、このうちphenserine では3a位の構造活性相関を明らかにし、acetylardeemin誘導体ではリード化合物より強力なトランスポーター阻害活性を発現するものを見出している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた2連続第四級炭素構築反応は問題なく進行したが、その先の変換反応に問題が生じ、合成ルートの変更を余儀なくされ、2連続第四級炭素構築反応のデザインからも変更することになった。一応この問題の解決策は取れ、計画した合成ルートに載せることが可能となり、予定していた天然物合成は今年度に達成したい。これに関連する2連続第四級炭素含有化合物の合成・活性研究では、多くの研究成果が得られた。なお、一部の計画は、予定していた人材数(大学院生、学部生)にも変更が生じたため、今年度は状況を改善する。
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今後の研究の推進方策 |
(1) 2連続第四級炭素を含有する天然物chimonanthine、WIN 64821とcommunesin Fの全合成:chimonanthineの全合成はトリプタミンにチオニウム活性種を用いる別ルートで達成したので、WIN 64821はその研究手法で展開する。平成24年度に改善した合成計画に基づきcommunesin Fとroquefortine、novofumigatamideの合成を中心に検討を進める。 (2) アザ-Claisen転位を鍵反応とするアリール化による第四級炭素構築法の開発と3a-アリールピロロインドー ルasperazine全合成への適用と(3) イミノ化反応に誘起する連続反応の開発と3a-アザピロロインドールpsychotrimine全合成への適用:これらの課題は人材を確保し予定通り進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度研究費と合わせて消耗物品費として使用する。
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