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2013 年度 実施状況報告書

Pd触媒を用いる連続キラルTHF環の立体制御とその展開;ゴニオシン類の不斉全合成

研究課題

研究課題/領域番号 24590034
研究機関京都薬科大学

研究代表者

上西 潤一  京都薬科大学, 薬学部, 教授 (50167285)

キーワード合成化学 / 薬学 / 1,3-不斉転写 / 抗がん活性 / パラジウム触媒 / アセトゲニン / 立体化学 / 不斉合成
研究概要

強力な抗がん活性天然化合物の中でアセトゲニンは特異な存在であり、そのアルキル長鎖の一部が酸化された構造の多様性と構造の柔軟性から抗がん活性のメカニズムがどのように発現するのかはいまだに解明されてはいない。これらのアセトゲニン類の中でgoniocin及びその異性体であるcyclogoniodenin-Tは3つのtrans-THF 環が連続した構造を有しており、比較的その構造が固定化されているため生理活性メカニズムの研究に適している。本計画ではgoniocin及び12441;cyclogoniodenin-Tの全合成を達成し、 これらの抗がん活性を評価研究することにある。
前年度に改良された合成法によりtrans-trisTHF環中間体を500mgスケールで持ち上げ上げた。炭素骨格の合成では分子間メタセシスが効果を発揮し、触媒を1%まで減少させかつ収率を約70%台まで上げる事に成功した。次に22位の水酸基の立体化学をどのように制御し決定するかが大きな課題になった。グリ二ヤール試薬による脂肪鎖ユニットの導入はTHF環がモノ、ビス、トリスと増加することにより基質固有の立体化学による選択比は低下した。そこで、キラルリガンドを用いるNHK反応による試薬のコントロールを試みたところ、マッチングペアーによる立体制御は10倍以上の選択比を与えた。しかしミスマッチングペアーによる制御では選択性は低かった。立体構造の決定はMosher法により達成する事が出来た。今一つの問題はこれらの異性体分離である。アルキル長鎖中の一部水酸基の異性体は分離が困難であることが本合成を通じで明らかになった。異性体混合物としてのcyclogoniodenin-Tの合成が可能となったが、抗がん活性評価では、異性体比が99%以上である必要がある。現在22位水酸基のエステル化による分離が達成されつつある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

全合成に関して(R)-および(S)-グリシドールから出発しトランスTHF 環が連続した中間体の両エナンチオマーを持ち上げた。そのなかでTHF環を増やして行く合成法として1;アルケン部分のオゾン酸化によるアルデヒドへの変換、2;butenylmagnesium bromideを用いた求核付加、3;キラルな(R)-5-phenylpent-1-en-3-olとのcross-metathesis反応、4;2価Pd触媒による選択的環化のそれぞれ4段階の方法論を確立する事が出来た。そして、中間体からNHK反応およびメタセシス反応により左右両ユニットを連結する事が出来た。そしてgoniocinおよびcyclogoniodenin-Tともに全合成のルートはほぼ確立された。

今後の研究の推進方策

最終年度は、純粋なgoniocin及びcyclogoniodenin-Tを精製し、抗がん活性試験に供し、活性を検証する。また、合成時に副生した、いくつかの誘導体も活性試験に提供し。構造と活性の相関を調べる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Stereoselective synthesis of contiguous THF-THF and THF-THP units via PdII-catalyzed tandem reaction with 1,3-chirality transfer2013

    • 著者名/発表者名
      Nobuyuki Kawai, Yuhei Fujikura, Jun’ichi Takita, Jun’ichi Uenishi
    • 雑誌名

      Tetrahedron

      巻: 69 ページ: 11017-11024

    • DOI

      dx.doi.org/10.1016/j.tet.2013.09.067

    • 査読あり
  • [雑誌論文] PdII触媒を用いる分子内不斉転写反応の立体化学と合成的応用2013

    • 著者名/発表者名
      上西潤一、河井伸之
    • 雑誌名

      有機合成化学協会誌

      巻: 71 ページ: 11017-11024

    • DOI

      10.5059/yukigoseikyokaishi.71.912

    • 査読あり
  • [学会発表] Pd触媒を用いる2,5- 二置換テトラヒドロフラン環形成反応2013

    • 著者名/発表者名
      村田裕基、上西潤一
    • 学会等名
      第39回反応と合成の進歩シンポジウム
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      20131105-20131106
  • [学会発表] Pd(II)-catalyzed tandem reaction for a construction of bis-THF rings2013

    • 著者名/発表者名
      Nobuyuki Kawai, Yuhei Fujikura, Jun’ichi Uenishi
    • 学会等名
      The 24th International Society of Heterocyclic Chemistry Congress
    • 発表場所
      Shanhai
    • 年月日
      20130912-20130918
  • [学会発表] 2価Pd触媒を用いる分子内 oxypalladation の立体化学2013

    • 著者名/発表者名
      村田裕基、上西潤一
    • 学会等名
      第33回有機合成若手セミナー
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      20130802-20130802
  • [学会発表] アルケニル基から2,5-trans THF環への変換プロセスの改良とcyclogoniodenin Tの合成2013

    • 著者名/発表者名
      鈴木 愛、仲岸哲也、河井伸之、上西潤一
    • 学会等名
      日本薬学会第133年会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      20130329-20130330

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公開日: 2015-05-28  

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