研究課題/領域番号 |
24590035
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 同志社女子大学 |
研究代表者 |
富岡 清 同志社女子大学, 薬学部, 教授 (50114575)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 有機化学 / 薬学 / カルバニオン / 合成化学 / 活性種 |
研究概要 |
骨格構築は有機合成化学の王道である。アミノリチオ化-カーボリチオ化連続化による鎖状分子からの含窒素複素環の不斉一挙構築法は、未開拓な化学である。リチウムアミドの分子内炭素-炭素二重結合への付加による分子内窒素-炭素及びリチウム-炭素結合形成、即ちアミノリチオ化反応ののち、生じるリチウム‐炭素結合をプロトン化すると含窒素複素環が得られる。プロトン化の代わりに、更に炭素-炭素二重結合と反応できれば多環含窒素複素環の構築法となる。開始反応であるアミノリチオ化の不斉化による、光学活性複素環合成法の開発も目的とする。平成24年度は以下を計画実行した。 1. ビスオキサゾリン配位子制御による分子内不斉アミノリチオ化において、基質であるアミノアルケンの構造と立体選択性の相関を検討した。その結果、アルケンの両末端にベンゼン環を有するスチルベン型の基質を用いた場合、高い立体選択性で環化体が得られることを見出した。 2. 分子内不斉アミノリチオ化を鍵反応として、(S)-laudanosine の不斉全合成を達成した。 3. 不飽和エステルに対するリチウムアミドの不斉共役付加反応-生じたエノラートのアルキル化-アミンの分子内SN2反応をカスケード化させ、3-7員環の多置換含窒素複素環の立体選択的合成法を開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
炭素-炭素二重結合への不斉アミノリチオ化-プロトン化による含窒素複素環の立体選択的合成において、基質の置換基が立体選択性に与える影響を検討した。その結果、スチルベン型のアルケンへの分子内アミノリチオ化が高い立体選択性で進行することを見出した。またイソキノリンアルカロイドの不斉全合成も達成した。交付申請書記載の平成24年度研究実施計画をほぼ達成しており、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
1. 求核剤性のより乏しい1級アミンでヒドロアミノ化反応を検討する。 2. 初期の検討で課題となっている基質の有機溶媒への難容性の克服、即ち低温化による反応の緩和化とエナンチオ選択性の向上を可能とする可溶化機能を持つ分子基の探索検討を計画する。 3. アミノリチオ化-カーボリチオ化-プロトン化による含窒素複素環合成をより一般的な基質を用いた反応に拡張する。 4. アミノリチオ化ののち、分子内のもう一つのスチレンにヒドロアミノ化させてダブルヒドロアミノ化させるとジャバベリン等のアルカロイド合成が達成できる筈で有るので計画する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究は実験化学であり、実験に必要なガラス器具、溶媒、反応剤等の消耗品費、減圧のためのポンプなどの器具、さらに情報収集と成果発表のための旅費と別刷費用に研究費を使用する予定である。
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