研究課題/領域番号 |
24590035
|
研究機関 | 同志社女子大学 |
研究代表者 |
富岡 清 同志社女子大学, 薬学部, 教授 (50114575)
|
キーワード | 有機化学 / 薬学 / カルバニオン / 合成化学 / 活性種 |
研究概要 |
骨格構築は有機合成化学の王道である。アミノリチオ化-カーボリチオ化連続化による鎖状分子からの含窒素複素環の不斉一挙構築法は、未開拓な化学である。リチウムアミドの分子内炭素-炭素二重結合への付加による分子内窒素-炭素及びリチウム-炭素結合形成、即ちアミノリチオ化反応ののち、生じるリチウム‐炭素結合をプロトン化すると含窒素複素環が得られる。プロトン化の代わりに、更に炭素-炭素二重結合と反応できれば多環含窒素複素環の構築法となる。開始反応であるアミノリチオ化の不斉化による、光学活性複 素環合成法の開発も目的とする。 平成25年度はベルベリンアルカロイドであるジャバベリンの合成研究を行った。前年度までにイソキノリンアルカロイドの不斉合成法を確立しているため、テトラヒドロイソキノリンを出発物質としてジャバベリンの合成研究に取り組んだ。すなわち、ノルラウダノシンのアミド化、Bischler-Napieralski環化、イミニウムのLiAlH4還元、引き続く脱保護を経て、ジャバベリンおよびそのエピマーの全合成を達成した。生成物の相対立体化学は還元反応により決定されるが、そのジアステレオ比は天然型/エピマー=1/9であり、エピマーが優先して生成する結果であった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
テトラヒドロイソキノリンを出発物質としてベルベリンアルカロイドであるジャバベリンの全合成を達成した。前年度までに達成したテトラヒドロイソキノリンの不斉合成法と融合させれば、ジャバベリンのみならず類縁化合物の不斉全合成に適用できる。また天然物のエピマーの合成法も確立できたため、立体異性体の生物活性も調査できる。アミノリチオ化を基盤としたベルベリンアルカロイドの一般的な合成法を確立できたため、おおむね順調に進展しているといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
1. 平成25年度にはベルベリンアルカロイドであるジャバベリンの全合成を達成したが、イミニウム還元反応のジアステレオ選択性に課題が残る。アミノリチオ化でベルベリン骨格を構築すれば、炭素ー窒素結合形成と同時に不斉中心が生じ、還元反応とは異なった立体選択性を示すと期待できる。これを検討する。 2. ダブルヒドロアミノ化によるベルベリン骨格の一挙構築をにらみ、求核性に乏しい1級アミンによるヒドロアミノ化反応を検討する。 3. アミノリチオ化-カーボリチオ化-プロトン化による含窒素複素環合成をより一般的な基質を用いた反応に拡張する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
物品費を他の研究費から充足できたため 試薬等の消耗品に充てる
|