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2012 年度 実施状況報告書

イナミドのヨード環化反応

研究課題

研究課題/領域番号 24590038
研究種目

基盤研究(C)

研究機関神戸薬科大学

研究代表者

沖津 貴志  神戸薬科大学, 薬学部, 講師 (50441209)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードイナミド / ヨウ素 / 環化反応 / 複素環
研究概要

イナミドは電子豊富なアルキンとしてその特異な反応に近年注目が集まっているが、イナミドを基質とする求電子的環化反応についてはあまり報告例がない。今回私は、環境への負荷が低いヨウ素試薬を用いたイナミドの求電子的環化反応について系統的に精査し、一般的な複素環合成法として確立することを目的として研究に着手した。
環化前駆体であるイナミド類は文献既知の手法により合成可能であることを確認した。通常のアルキンとイナミドとではどのような反応性の違いが見られるのかについて、当研究室で見出したベンゾフラン合成法(Org. Lett. 2008, 10, 4967.)をモデルとして比較検討した結果、通常のアルキンを基質とした場合では反応の完結に24時間要していたにも拘らず、イナミドに置き換えることで3秒以内に反応が終結し高収率で目的のベンゾフランが得られることを見出した(日本薬学会第133年会、28amA-621S)。
またヒドラジドを求核種とするヨード環化反応を別のモデル反応とした場合においては、通常のアルキンを基質とすると5員環形成は可能であるが(Org. Lett. 2010, 12, 3506.)6員環構築には不向きであったのに対し、イナミドに置き換えることにより6員環であるピリダジン類の構築が可能となることを明らかとした。以上の知見はイナミドの高反応性を支持する結果として捉えることができる。
さらにイナミドの特長として、アミド部に不斉補助基を導入できる利点がある。そこで光学活性イナミドを基質として、我々が見出したスピロ環合成法(Synlett 2010, 203.)を実施した結果、所望のスピロ化合物が単一のジアステレオマーとして得られることを見出した(第62回日本薬学会近畿支部総会・大会、有-P-AM-08)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究計画調書のとおり実施できている。一部、平成25年度の研究計画分を実施しており、当初期待した通りの結果を得ている。

今後の研究の推進方策

先の研究実績の概要で述べたベンゾフラン及びピリダジン類合成法については、基質一般性について更に検討する予定である。また光学活性スピロ環合成法については、現在天然物合成への応用について検討中である。

次年度の研究費の使用計画

研究成果がある程度纏まってきているため、学会発表による情報公開の機会を設けたいことから旅費を計上する予定である。その他は物品費やサンプル整理のための謝金に当てたいと考えている。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (7件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Substituent Effect of Bis(pyridines)iodonium Complexes as Iodinating Reagents: Control of the Iodocyclization-Oxidation Process2013

    • 著者名/発表者名
      Okitsu, T.; Yumitate, S.; Sato, K.; In, Y.; Wada, A.
    • 雑誌名

      Chem. Eur. J.

      巻: 19 ページ: 4992-4996

    • DOI

      10.1002/chem.201204423

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Large Spectral Change due to Amide Modes of a β-Sheet upon the Formation of an Early Photointermediate of Middle Rhodopsin2013

    • 著者名/発表者名
      Furutani, Y.; Okitsu, T.; Reissig, L.; Mizuno, M.; Homma, M.; Wada, A.; Mizutani, Y.; Sudo, Y.
    • 雑誌名

      J. Phys. Chem. B

      巻: 117 ページ: 3449-3458

    • DOI

      10.1021/jp308765t

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Correlation between nuptial colors and visual sensitivities tuned by opsins leads to species richness in sympatric Lake Victoria cichild fishes2012

    • 著者名/発表者名
      Miyagi, R.; Terai, Y.; Aibara, M.; Sugawara, T.; Imai, H.; Tachida, H.; Mzighani, S. I.; Okitsu, T.; Wada, A. Okada, N.
    • 雑誌名

      Mol. Biol. Evol.

      巻: 29 ページ: 3281-3296

    • DOI

      10.1093/molbev/mss139

    • 査読あり
  • [学会発表] 遠隔不斉誘起型ヨード環化反応-光学活性なスピロ化合物の合成-

    • 著者名/発表者名
      沖津 貴志、村井 ちはる、和田 昭盛
    • 学会等名
      第62回日本薬学会近畿支部総会・大会
    • 発表場所
      西宮
  • [学会発表] 9Z-デメチルレチノイン酸類の効率的合成とその生物活性

    • 著者名/発表者名
      和田 昭盛、沖津 貴志、近野 沙織、辻本 麻里、松浦 直美、中川 公恵、岡野 登志夫
    • 学会等名
      第56回香料・テルペンおよび精油化学に関する討論会
    • 発表場所
      鹿児島
  • [学会発表] 酸-塩基複合系を利用したイソシアニドのカルボアルコキシ化

    • 著者名/発表者名
      沖津 貴志、長瀬 建太、西尾 信彦、和田 昭盛
    • 学会等名
      第38回反応と合成の進歩シンポジウム
    • 発表場所
      東京
  • [学会発表] Synthesis of Benzoxazoles by Tandem Migration-Carboalkoxylation

    • 著者名/発表者名
      Okitsu, T.; Nagase, K.; Nishio, N.; Wada, A.
    • 学会等名
      IKCOC-12
    • 発表場所
      Kyoto
  • [学会発表] メントン由来の二環性骨格を有する9-cis-レチノイン酸誘導体型RXRアゴニストの創製

    • 著者名/発表者名
      沖津 貴志、山田 翔也、加来田 博貴、和田 昭盛
    • 学会等名
      第30回メディシナルケミストリーシンポジウム
    • 発表場所
      東京
  • [学会発表] イナミドのヨード環化反応を利用したベンゾフランの迅速合成

    • 著者名/発表者名
      沖津 貴志、中田 康平、和田 昭盛
    • 学会等名
      日本薬学会第133年会
    • 発表場所
      東京
  • [学会発表] アレナミドとアゾ化合物の[2 + 2]環化付加反応と続く求核的開環反応の開発

    • 著者名/発表者名
      沖津 貴志、吉田 裕司、和田 昭盛
    • 学会等名
      日本薬学会第133年会
    • 発表場所
      東京
  • [備考] 神戸薬科大学 生命有機化学研究室

    • URL

      http://www.kobepharma-u.ac.jp/~ocls/

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公開日: 2014-07-24  

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