研究課題
イナミドは電子豊富なアルキンであることから、求電子剤に対して高い反応性を示すだけでなく、そのアミド部位を光学活性体とすることでジアステレオ選択的な反応へと展開できる有望な合成素子である。しかし、イナミドを基質とした求電子的閉環反応の例は未だ限られている。私は環境低負荷型反応の開発の一環としてヨウ素試薬を用いた求電子的閉環反応、言わばヨード環化反応について検討を行ってきた。本事業ではイナミドを基質としたヨード環化反応について精査することを目的として研究を行った。我々が既に報告したヨード環化反応を用いたベンゾフラン合成法(Org. Lett. 2008)をモデルとして通常のアルキンとイナミドの反応性を比較したところ、より温和な条件でもイナミドではわずか3秒で反応が完結することを見出した。(第39回反応と合成の進歩シンポジウム、1P-32)。またホモプロパルギルヒドラジドをヨード環化反応の基質とした場合、通常のアルキンでは環化体を得るに至らなかったのに対してイナミドとすると中程度の収率で6-endo環化体であるジヒドロピリダジン類が得られることを明らかにした(日本薬学会第134年会、29pmM-195)。これらの結果はイナミドの高反応性を支持する結果と言える。またキラルなイナミドを用いたヨード環化反応についても検討し、脱芳香化を伴うジアステレオ選択的な環化反応とDiels-Alder反応の連続反応による光学活性なスピロ環構築法(第39回反応と合成の進歩シンポジウム、1P-32)や、ポリエン環化反応による三環性骨格構築(第63回日本薬学会近畿支部総会・大会、P2-67)にも成功した。
2: おおむね順調に進展している
当初の研究計画調書のとおり実施できている。計画外であったポリエン環化反応への応用についても実施できたことから、当初期待した通りの結果を得ていると判断した。
上記反応の基質一般性については概ね完了しているので、計画のとおり現在は天然物合成への応用について検討中である。
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