イナミドは電子豊富なアルキンであることから、求電子剤に対して高い反応性を示すだけでなく、そのアミド部位を光学活性体とすることで不斉反応へと展開できる有望な合成素子である。私は、イナミドを基質とするヨード環化反応を精査した結果、ベンゾフラン合成はわずか3秒で完結することを見出した。またホモプロパルギルヒドラジドを基質とした場合、通常のアルキンでは進行しない6-endo環化反応がイナミドでは進行することを明らかにした。更にキラルなイナミドを用いたヨード環化反応についても検討し、光学活性なスピロ環や三環性骨格の構築にも成功した。
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