平成24年度に得られた結果をもとに、共役ヒドラゾンを基質とするラジカル反応と協奏反応を組み合わせたドミノ型反応の開発研究を行った。すなわち、基質として末端窒素原子上にフェニル基を有する共役ヒドラゾンをラジカル開始剤であるトリエチルボランで処理すると、ラジカル付加反応により生成するN-ボリルエンヒドラジンのフィッシャー型インドール合成反応が進行し、カルボニルのα位にアルキル基の導入されたインドール酢酸誘導体が得られると考えた。はじめに、パラメトキシフェニル基を有する共役ヒドラゾンを基質としてベンゼン中室温で反応を検討した。その結果、期待通りドミノ型反応が進行し、目的のインドール酢酸エステルが得られたが17%と低収率であった。そこで、種々反応条件を検討したところ、ヨウ化亜鉛存在下、ベンゼン還流条件で反応を行うと収率が89%に向上した。次に、窒素原子上のフェニル基の置換基効果について検討した結果、本反応の置換基としては電子供与基が優れていることが明らかとなり、さらにナフタレン環をもつ共役ヒドラゾンでも反応が進行し、ベンゾインドールが収率良く得られた。また、ラジカル源として様々な官能基化されたアルキルラジカルが本反応に適用できることを見出し、多様なインドール酢酸誘導体の合成に成功した。
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