研究課題/領域番号 |
24590045
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
森部 久仁一 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (50266350)
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研究分担者 |
東 顕二郎 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (40451760)
山本 恵司 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (50110341)
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キーワード | 固体分散体 / 過飽和 |
研究概要 |
固体分散体中でのCarbamazepine(CBZ)とグレードの異なるHydroxypropyl Methylcellulose-Acetate Succinate (HPMC-AS: LF, HF)との相互作用をNMRで評価した。CBZ結晶化抑制作用を評価した結果、HFがLFと比べ強い結晶化抑制作用をもつことが明らかとなった。HPMC-ASの置換基比率の違いがCBZ結晶化抑制に及ぼす影響を評価するため、1H-NMR測定を行ったところ、HF溶液中では、CBZ単独の溶液と比較してCBZのピークがブロード化した。一方、LF溶液中ではCBZピークの形状に大きな変化は認められず、CBZ単独の溶液中のピークと類似のスペクトルが観察された。これは、HF溶液におけるCBZとHPMC-ASの分子間相互作用がLF溶液の場合と比較し強いためと考えられた。NOESY測定の結果、CBZ及びHPMC-ASのHFグレードの溶液では薬物/ポリマー間にクロスピークが観察され、相互作用の存在が確認された。一方でLF溶液中では薬物/ポリマー間でクロスピークが観察されなかった。HPMC-ASの官能基を詳細に評価するため、Saturation-transfer difference スペクトル上のHPMC-ASの各1Hピークの強度を比較した。その結果、他のHPMC-ASの官能基と比較してアセチル基で強い1Hピーク強度が観察された。一方、HPMC-ASのサクシノイル基では1Hピーク強度は小さかった。以上の結果から、CBZの結晶化抑制作用にはアセチル基が重要な役割を果しており、サクシノイル基の寄与は小さいと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
固体分散体中でのCarbamazepine(CBZ)とグレードの異なるHydroxypropyl Methylcellulose-Acetate Succinate (HPMC-AS)との相互作用について、各種NMR測定技術を用いて評価し結晶化抑制能との関連を明らかにした。NMR測定技術を用いて評価可能な相互作用に関する一通りの検討は終了した。
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今後の研究の推進方策 |
換基比率の異なる各種HPMC-ASが入手できたことから、それらを用いて結晶化抑制作用と分子間相互作用との関連を明らかにすることで、過飽和形成メカニズムに及ぼす相互作用の影響を網羅的に評価する。HPMC-AS以外のポリマー(PolyvinylpyrrolidoneやEudragit EPO)を用いた際の結晶化抑制効果と膜透過性との関連、相溶性と溶出速度との関係についてもさらに今後明らかにしていく。
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