研究概要 |
PQBP-1(Polyglutamine tract binding protein-1)が、RNAポリメラーゼIIとスプライソソームを連結するコネクタータンパク質であるという仮説が提案されている。本研究では、この仮説を溶液NMRとX線結晶構造解析の手法で検証する。そのために、PQBP-1, PolII-C-Repeat, U5-15kDの3分子複合体の立体構造をNMRとX線結晶構造解析によって解明する。 PQBP-1をHisタグ融合タンパク質として大腸菌で発現させた。その際、PQBP-1を2H, 15Nで標識するために、15N塩化アンモニウムを含むM9培地を重水で作成した。2H/15N標識PQBP-1はNiアフィニティークロマトグラフィーと逆相HPLCで精製した。 PQBP-1と相互作用するU5-15kDを大腸菌で発現させた。U5-15kDは、N, C末端の数残基を削除したU5-15kD(4-137)を用いた。U5-15kDはNiアフィニティークロマトグラフィーとゲルろ過クロマトグラフィーで精製した。 2H/15N標識PQBP-1のNMRスペクトルは、Bruker Avance 800 NMR装置で測定した。U5-15kDは凝集しやすく不安定であるため、PQBP-1とU5-15kDの複合体が最も安定な条件を検討した。その結果、20 sodium phosphate (pH 8.0), 1 mM EDTA, 1 mM DTTの溶液条件のサンプルが最も質の良いNMRスペクトルが得られた(25℃)。 98-192残基を欠損させたPQBP-1変異体について、大腸菌による発現系を構築し、欠損変異体を発現・精製した。欠損変異体は可溶性画分に発現され、U5-15kDのときと同様の手法で精製できた。また、88-222残基を欠損させた変異体についても同様の手法で発現・精製した。
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