研究課題/領域番号 |
24590055
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
豊岡 利正 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (40183496)
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キーワード | キラルメタボロミクス / 光学活性誘導体化試薬 / 液体クロマトグラフィー / 質量分析法 / 光学活性アミノ酸 / 光学活性カルボン酸 |
研究概要 |
近年メタボローム解析に基づく疾病に関連したバイオマーカー分子の探索が盛んに行われている。しかし、光学異性体を考慮したメタボライトプロファイリング解析によるバイオマーカー探索は、全く検討されていない。その最大の理由は、メタボローム解析に通常 使用されるODSカラムを用いた液体クロマトグラフィー質量分析法(HPLC-MS)等では、光学異性体を分離検出することができないためと考えられる。 本研究では、光学異性体を識別でき、且つ高感度選択的検出が可能な各官能基別標識試薬の創製と、これらの合成した試薬群を用いた疾病に関連した不斉炭素含有光学異性体バイマーカーの探索を目的としている。 昨年度は、MS測定に最適なアミン類およびカルボン酸類の標識試薬として、ピリジルチオウレア構造を有する2種の光学活性誘導体化試薬、(S)-PyT-Nおよび(S)-PyT-Cをデザインし新規合成した。これらの試薬は、予想どおり、光学活性カルボン酸類や光学活性アミン類を高感度に分離・検出できた。今年度は、より安価な試薬の開発と同一構造を有する安定同位体試薬の合成を目指した。その結果、アミノ酸の一種である pyroglutamic acid(PGA)が光学活性アミンの分離・検出に有効であることを見出し、その安定同位体試薬(PGA-d6)と組み合わせることにより、検量線を必要としない簡便なアミン類の光学異性体比分析法を構築した。アミン類の標識をPGAとPGA-d6を併用し、反応後に両者を混合しLC-MS/MS分析することにより、マトリックス効果が相殺されるため、2群間の差解析の信頼性がより高まるものと期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は、昨年度に引き続き官能基別標識試薬の合成と基礎検討(評価)を行うことを目的としており、光学活性アミン用の誘導体化試薬のPGAを見出した。さらにその安定同位体試薬を用いて、光学異性体比の差解析が容易に行えることを示した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、最終年度となるので、当初の研究計画に従って、これまでに創製した安定同位体試薬を精査し、メタボライトプロファイリング解析に基づき、疾病関連バイオマーカーの探索研究を実施する予定である。
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