今後の研究の推進方策 |
薬物の毛嚢移行性を高めるための製剤設計を行なう。角層は死んだ角質細胞からなる脂溶性の膜であるため、角層と溶解度パラメータが近似した物質は、角層への分配性が高くなる(Dias M., et al., Int. J. Pharm., 340,65-70, 2007)。したがって、基剤や薬物キャリアーの物理化学的性質を利用することで、薬物を選択的に毛嚢へデリバリーすることが可能であると考えられる。また、毛嚢内から皮内に侵入するためには、tight junctionを突破する必要がある(Langbein L., et al., Eur. J. Cell Biol., 81, 419-435, 2002; Brandner J.M., et al., Arch. Dermatol. Res., 295, 211-221, 2003)。そこで、溶解度パラメータが異なる基剤やtight junction を開口させる吸収促進剤を選択し、毛嚢移行性および毛嚢から皮内移行を高めるための製剤設計を行う。皮膚の生きた表皮にはtight junctionが存在しているが、tight junctionによる薬物の透過バリア能は、角層による薬物透過バリア能と比較すると低く、他の経粘膜経路と比較するとtight junction openerに関する検討はほとんどされていない。これらの検討をすることで、薬物の毛嚢選択的デリバリーおよび毛嚢を介した薬物の皮膚透過促進法を確立する。
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