研究課題
本年度において、アルツハイマー病理脳からのアミロイドβ抽出および翻訳後修飾体の液体クロマトグラフィー質量分析法を開発検討した。アミロイドβの抽出には様々な溶媒を用いた結果、高濃度ギ酸溶液もしくはグアニジン塩酸塩などが有効であった。また、今回、新たな翻訳後修飾体として、ラセミ・異性化体N末端アミロイドβの検知法にキラル誘導体化法を採用した。これらの翻訳後修飾体は、質量数が同じのため、分離による評価を行わなければならない。そこで、キラル誘導体化LC/MS法を採用し、アルツハイマー脳からの初めての異性化体の検出に成功した。これらが、今後、病理解明の一助となると思われる。
2: おおむね順調に進展している
現在までヒト脳からの翻訳後アミロイドβの検出に成功した例は少ない。申請者は、すでにLC/MSを用いた様々なアミロイドβアミノ酸配列を詳細に分析するに達した。酸化修飾体を含め、ラセミ化もしくは構造異性化なども測定できる系を構築できた点で、おおむね順調に研究は進行している。
今後は、これまで構築してきたLC/MS分析法を応用して、対象患者例の拡大を目指すこととする。また、次の展開を含めて、アミロイドβを基軸としたプロテオミクスもしくはメタボミクスを行い、認知症由来のバイオマーカー探索へ展開することとする。
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Analytical Chemistry
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