最終年度にあたる本年度では、実際の剖検脳組織を用いた解析を実施した。測定にはアルツハイマー型認知症患者および通常の老化によるものを利用した。さらに、分析には液体クロマトグラフィー質量分析法を採用し、高感度かつ高精度な分析を実施した。その結果、酸化修飾などの明らかな翻訳後修飾(Post-translation)が生じたアミロイドタンパク質を見出し、安定同位体希釈-内標準法による定量を可能とした。それらの定量値から、患者間による違いは観察されるが、凝集されるアミロイドタンパク質の数十%の割合で変化していることを見出した。これにより、本研究プロジェクトの一つの目標である探索研究として達成できたものと思われる。
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