研究概要 |
研究代表者らは、さらに有効なリード化合物を創出するため、テトラゾールC5位を飽和炭化水素で修飾した一連の5-R-テトラゾールを架橋剤とする新規錯体 [{cis-Pt(NH3)2}2(μ-OH)(μ-5-R-tetrazolato-N2,N3)]2+ (R = (CH2)nCH3 (n = 1-5), cyclohexyl, adamantyl) を新たに合成し、1H、13Cおよび195Pt-NMR、およびMSを用いて帰属を行った。新規錯体のA2780卵巣がん細胞に対する細胞毒性を検討し、ほとんどの新規錯体がA2780卵巣がん細胞に対してシスプラチンに対する交叉耐性も克服すること、およびテトラゾールC5位に導入したアルキル基の炭素鎖が長くなるほど、細胞毒性が低下するという傾向を確認した。次に、これらの錯体を子牛胸腺DNA水溶液に添加し、その構造変化をCDスペクトルにより観察した。CDスペクトル変化から、すべての新規錯体がB型DNAからC型DNAへの構造変化を引き起こすことが確認された。さらに、これらの白金錯体共存下でT4 phage DNAの高次構造変化を蛍光顕微鏡で観察した結果、高効率なDNAの凝縮が認められた。凝縮効率は、C5位のメチレン基数(n)が1から3の錯体においては、nの増加に伴って減少し、nが3-5の錯体においては、nの増加と共に上昇した。本研究で得られた結果を基に、テトラゾールC5位への飽和アルキル基導入による構造活性相関を構築し、DNAとの相互作用様式および親和性との関連を検討した。
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