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2012 年度 実施状況報告書

規則性ナノ空間光触媒の創製とラジカル化学的CO2固定化反応への展開

研究課題

研究課題/領域番号 24590067
研究種目

基盤研究(C)

研究機関兵庫医療大学

研究代表者

甲谷 繁  兵庫医療大学, 薬学部, 講師 (00242529)

研究分担者 宮部 豪人  兵庫医療大学, 薬学部, 教授 (10289035)
吉岡 英斗  兵庫医療大学, 薬学部, 助教 (80435685)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード光触媒 / 規則性細孔構造 / 二酸化炭素固定化
研究概要

本研究は、ナノ空間細孔を有する光触媒を創製し、その細孔内で熱反応では起こり得ない独特な化学反応を光で誘起することを目指している。具体的には、二酸化炭素とアミン、あるいはアルコールとの熱反応では、直接、アミノ酸あるいはヒドロキシ酸を与えることはないが、本研究で開発するナノ空間細孔の光触媒を用いれば、上記の反応を起こしうる可能性がある。
当初の研究計画では、ナノ空間を有するゼオライトの空孔内部をチタンあるいはタンタルに置換した光触媒を調製することを試み、二酸化炭素とエタノールから乳酸生成の可能性を検討したが、反応は全く進行せず、ゼオライトを用いる手法を断念することとした。その後、次年度に計画していた高次ナノ構造多孔性シリカ(メソポーラスシリカ)の内部にチタン原子を孤立高分散で組み込んだ光触媒の調製に着手した。その結果、チタン原子がシリカの中に分散して組み込まれていることを、本年度の科研費で購入した「積分球付属紫外可視分光光度計」にて確認することができた。しかしながら、メソポーラス構造の規則性に関して、X線回折法による依頼分析にかけたところ、規則正しい細孔空間は形成されていないことが明らかとなった。
次に、規則性メソポーラス構造を形成するタンタル酸光触媒の調製と反応性評価の検討に着手した。今のところ、X線回折の高角データによるとアモルファス(非晶質)のタンタル酸が得られているようであるが、小角散乱によるデータより規則性な長周期構造をもつタンタル酸を合成することに成功したと考えられる。現在、この光触媒のCO2還元能に関する反応性の評価を行い、触媒調製時の条件と反応性との相関を調べている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ナノ空間を有するゼオライトの空孔内部をチタンあるいはタンタルに置換した光触媒を調製する当初の試みは、二酸化炭素とエタノールから乳酸生成の可能性はなく、この研究計画の推進を断念せざるを得なかった。しかし、メソポーラスシリカの内部にチタン原子を孤立高分散で組み込んだ光触媒の調製では、チタン原子がシリカの中に分散して組み込まれていることを、本年度の科研費で購入した「積分球付属紫外可視分光光度計」にて確認することができたことは、研究の推進で一歩前進したことを示すものである。さらに、規則性メソポーラス構造を形成するタンタル酸光触媒の調製では、X線小角散乱によるデータより規則性長周期構造をもつタンタル酸を合成し、この材料での今後の展望が十分に期待されるものである。したがって、本研究課題の達成度は、やや遅れているものの、着実に進行しているといえる。

今後の研究の推進方策

今後は、「チタン原子をメソポーラスシリカの内部に高分散置換した規則性ナノ空間光触媒」と「規則性メソポーラスタンタル酸光触媒」の二つの材料に焦点を当て、CO2とアルコールの反応からヒドロキシ酸の合成へと導く品質の良い規則性ナノ空間光触媒材料を開発していく予定である。具体的には、今年3月に本学独自の予算にて導入した「多目的X線回折装置」によるX線小角散乱を用いた長周期メソポーラス構造評価とエタノール中におけるCO2光還元による乳酸、ギ酸、および酢酸の生成能(反応性)との相関を詳細に調べ、触媒調製の条件検討を重ねていく予定である。さらに、優れた特性を示す光触媒については、連携研究者(工藤)の協力のもと、BET法による比表面積測定、透過型電子顕微鏡(TEM)による表面測定と観察により、比表面積および細孔径の大きさをそれぞれ評価する。さらに、X線光電子分光(XPS)によりチタンやタンタルの電子状態(価数)を調べ、化学シフト観測により多孔性空孔内部の金属原子周辺の分子環境に関する情報を得る予定である。

次年度の研究費の使用計画

次年度には、調製した光触媒について、アルコール中でのCO2光還元によるヒドロキシ酸生成能(反応性)を評価するために、LED(発光ダイオード光源)を購入する。従来から用いてきたキセノンランプと置き替えて使用することにより、安定的な光強度を確保すると同時に、長時間使用における消費電力を各段に抑えることが可能となり、長期間に渡って光触媒に対する安定かつ信頼性のある品質評価が行えると期待される。その他、細かな消耗品と学会出張旅費・学会参加費などを計上する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Adsorptive and Kinetic Properties on Photocatalytic Hydrogenation of Aromatic Ketones upon UV Irradiated Polycrystalline Titanium Dioxide: Differences between Acetophenone and Its Trifluoromethylated Derivative.2012

    • 著者名/発表者名
      S. Kohtani, E. Yoshioka, K. Saito, A. Kudo, H. Miyabe
    • 雑誌名

      J. Phys. Chem. C

      巻: 116 ページ: 17705-17713

    • DOI

      10.1021/jp3056174

    • 査読あり
  • [学会発表] 色素増感TiO2光触媒によるアセトフェノンの可視光水素化反応2012

    • 著者名/発表者名
      甲谷 繁、西岡早希、吉岡英斗、宮部豪人
    • 学会等名
      新学術領域研究第1回公開シンポジウム
    • 発表場所
      東工大蔵前会館1Fくらまえホール(東京都)
    • 年月日
      20121217-20121218
  • [学会発表] 酸化チタン表面での芳香族ケトンの光水素化反応初期過程-表面捕捉準位を介した電子移動機構-2012

    • 著者名/発表者名
      甲谷 繁、鴨井 佑奈、吉岡英斗、工藤昭彦、宮部豪人
    • 学会等名
      第31回 固体・表面光化学討論会
    • 発表場所
      大阪大学吹田キャンパス銀杏会館(大阪府)
    • 年月日
      20121121-20121122
  • [学会発表] Dependence on Reduction Potential in the Photocatalytic Hydrogenation of Acetophenone Derivatives on Titanium Dioxide.2012

    • 著者名/発表者名
      S. Kohtani, Y. Kamoi, E. Yoshioka、A. Kudo, H. Miyabe
    • 学会等名
      7th Asian Photochemistry Conference 2012
    • 発表場所
      Icho Kaikan, Osaka University (Osaka)
    • 年月日
      20121112-20121115
  • [学会発表] 酸化チタン上での芳香族ケトンの光触媒的水素化反応における基質還元電位依存性2012

    • 著者名/発表者名
      甲谷 繁、鴨井 佑奈、吉岡英斗、工藤昭彦、宮部豪人
    • 学会等名
      2012年光化学討論会
    • 発表場所
      東京工業大学大岡山キャンパス(東京都)
    • 年月日
      20120912-20120914
  • [備考] 薬品化学研究室―有機化学・物理化学―

    • URL

      http://www2.huhs.ac.jp/~h070012h/

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公開日: 2014-07-24  

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