研究課題/領域番号 |
24590068
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研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
桐野 豊 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (10012668)
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研究分担者 |
岸本 泰司 徳島文理大学, 薬学部, 准教授 (90441592)
窪田 剛志 徳島文理大学, 薬学部, 助教 (90412402)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 瞬目反射条件付け / 学習・記憶 / サル / PET |
研究実績の概要 |
1.サルのdelay eyeblink conditioning(EBC、瞬目反射条件付け)に初めて成功した。EBCの測定には、高速ビデオカメラにより眼瞼の位置を追跡する方法と眼瞼の筋電位を測定する方法を併用した。両者の結果は本質的に同じであることが分かったが、筋電位方式の方がEBCをより鋭敏(より早期)に検出できた。また、高速ビデオカメラ方式により、まどろみ状態のサルにおいても、明確に開眼している状態と同様にEBCが行われることを発見した。これらの結果をとりまとめた論文原稿を国際学術誌であるPLOS ONEに投稿中である(現在、revised manuscriptの審査中)。 3.trace EBC実験の準備を行っている。そのため、アカゲザル2頭を購入した。 3.EBCに必須の分子であるカンナビノイド受容体サブタイプ1(CB1R)のPETリガンド[11C]CB-119の前駆体を合成し、そのPET画像を取得した。CB1Rのアンタゴニストを用いて、その結合サイトの特異性の検討を行っている。 4.サルのEBCと並行して、マウスを用いた比較実験を行っている。使用できるサルの例数には限りがあることから、野生型マウスを用いて、同一個体に繰り返し条件づけを行うことのできるパラダイムを探索した。同一個体に対し学習試行と消去試行を繰り返し(3回)行ったところ、学習過程と消去過程について毎回同様の学習曲線が得られることが判明した。また、CB1受容体拮抗薬であるRimonabant(消耗品として支出)の投与は、それぞれの学習過程で障害を及ぼすことが確認された。本結果より、同一個体のサルで、繰り返し行動実験を行う候補系を提示することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、浜松市の浜松ホトニクス(株)の研究協力者(複数)と私どもの共同研究である。実験は、研究分担者等が浜松市に約10日間出張して、浜松ホトニクス社のサル用実験施設を利用して、同社の研究協力者の協力の下に実施する必要がある。そのため、浜松ホトニクス社の研究協力者の日程と実験施設のavailability、サルの状態、および、私どもの日程の全てが揃ったところで実験を開始することとなる。今年度はその条件が揃わず、実験を実施することができなかった。その代わりに、前年度までに取得したdelay EBCの実験結果について、深い議論を行い、論文原稿をまとめて、国際学術雑誌に投稿することができた。また、平成27年度に実施すべき実験のプロトコルを作成した。
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今後の研究の推進方策 |
次の二つの課題を、私どもが日程を調整し、浜松ホトニクス(株)中央研究所に出張して、サルの状態及び機器のavailabilityに応じた順序で、実行する。 (1)同研究所に唯一存在するサル用PET装置を用いて、アカゲザルを対象とした「CB1RのPETイメージング中のEBC実験」を行う。 (2)サルのtrace EBCを行う。サルのような高等動物におけるdelay 及び trace EBCに関するデータはこれまで皆無であり、両者の比較はEBC研究の上で、極めて重要な知見となる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究協力先の施設や研究者の都合、および、実験動物の状態等が合致せず、実験実施が困難となり、研究の進捗状況が少し遅れたため、補助事業期間寝長を申請し承認されたため。
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次年度使用額の使用計画 |
アカゲザルを対象とした瞬目反射条件づけとCB1RのPETイメージングを行う。この実験に必要な物品費、共同研究先への出張旅費、および、論文投稿料に使用する。
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