本研究では、コンドロイチン硫酸に特異的な加水分解酵素であるヒアルロニダーゼ4(HYAL4)について、基質特異性のための詳細な性質、生体内における機能を解明しようとしている。平成26年度は、HYAL4の発現解析、基質認識機構の解析、Hyal4ノックアウトマウス作成のためのターゲッティングベクターの構築、酵母を用いた活性のあるHYAL4の大量調製に成功した。HYAL4の発現解析に関して、発生段階の異なるマウス脳におけるHyal4の発現について、他のヒアルロニダーゼとともに調べた。残念ながら、脳内でHYAL4は殆ど発現していなかった。また、細胞内における発現部位を、免疫組織染色を用いて調べ、初期エンドソーム内に存在することを示唆する結果を得た。HYAL4とHYAL1のキメラ酵素を複数作成し、その基質特異性を調べて、GalNAcとGlcNAcの基質認識の違いに関わるアミノ酸配列の絞り込みに成功した。これらの成果については、複数の国内および国際学会において発表した。Hyal4ノックアウトマウスの作成に関しては、様々な事由により遅れていたが、ようやくターゲッティングベクターの構築に成功し、現在ES細胞への導入を試みている。酵母を用いたHYAL4の大量調製も行い、その酵素活性を測定したところ、十分な活性が得られた。本成果については、現在論文作成中である。大量に得られた酵素を用いて、脊髄損傷治療等へ応用できないか、現在研究を発展させている。また、上記の各成果の一部は、国際学術雑誌Cellular and Molecular Biology Lettersに総説として報告した。
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