研究課題
申請者はヒトα9インテグリンのスプライシングバリアントSFα9を同定し、SFα9がα9インテグリンの機能調節に関与していることを明らかにしている。SFα9結合分子の解析を行った結果、薬物代謝に関わる酵素を同定することができた。当該酵素の阻害剤は既に利用可能であったことから、その酵素阻害剤によるα9インテグリン機能への影響を検討した結果、α9インテグリンを介する細胞接着を抑制できることが分かった。α9インテグリンは関節リウマチモデルや多発性硬化症EAEモデルの発症、増悪化に関与することから、得られた酵素阻害剤によるこれら自己免疫疾患モデルに与える影響を検討した結果、ほぼ完全に自己免疫疾患モデルの発症と増悪化を抑制できることが分かった。得られた酵素阻害剤は、自己免疫疾患を標的とした医薬への発展性を期待できる。申請者はマウスα4インテグリンスプラインシングバリアントα4Bの同定にも成功している。α4B自身は、細胞内配列が野生型α4インテグリンと全く異なる変異体である。α4Bは、野生型α4インテグリンリガンドに対して細胞接着能を有さないが、野生型α4インテグリンと共発現させることでα4インテグリンリガンドに対する細胞接着を抑制できることが分かった。α4Bによるα4インテグリン機能抑制は、α4インテグリンの発現抑制によるものではないことが、新たに作製したα4インテグリンを特異的に認識するモノクローナル抗体の作製により分かった。また、α4Bの細胞内領域欠損変異体を用いることで、α4Bによるα4インテグリン機能抑制は、α4Bの細胞内シグナル伝達を介したα4インテグリン活性化抑制によるものであることを見出した。本研究からα4Bは、内在性α4インテグリン機能阻害因子であることが分かった。本研究成果はJ Biol Chem. 289:16389-16398, 2014. として論文に報告した。
α4Bの研究成果のプレスリリース
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