研究課題/領域番号 |
24590074
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
中川 宏治 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 講師 (80360949)
|
研究分担者 |
小林 正伸 北海道医療大学, 看護福祉学部, 教授 (80241321)
|
キーワード | 低酸素応答 / 低グルコース応答 / HIF-1 / SIRT7 / 癌遺伝子 / 癌抑制遺伝子 |
研究概要 |
本年度は、昨年度に引き続き、SIRT7による低酸素適応応答の分子機構について、更なる解析を行った。HIF-1αのアセチル化状態に及ぼすSIRT7の影響については、明確な結果が得られなかったことから、SIRT7は、間接的にHIF-1の機能に影響を及ぼす可能性が考えられた。そこで、HIF-1シグナルの制御因子とSIRT7の物理的相互作用を解析した。293T細胞を用いた免疫沈降実験の結果、HIF-1に対するユビキチンリガーゼである癌抑制遺伝子産物von Hippel-Lindau (VHL)が、SIRT7と結合することを見出した。この結果から、VHLは、SIRT7と複合体を形成することにより、HIF-1の機能を制御している可能性が示唆された。 また、SIRT7が細胞内において、どのようなタンパク質複合体中で機能しているのかを網羅的に明らかにするために、yeast two-hybrid法を用いて、SIRT7と相互作用するタンパク質の探索を行った。野生型SIRT7およびSIRT7脱アセチル化酵素活性欠損型変異体(SIRT7 H187Y) をbaitに用いて、ヒト平均化cDNAライブラリーをスクリーニングした結果、それぞれ複数の結合タンパク質の候補が得られた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の研究計画にあるSIRT7 knock down細胞の樹立と、その低酸素・低グルコース適応応答における機能の解析については、現在のところ、knock down細胞の樹立が成功しておらず、その点で若干の計画の遅れが生じている。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度である平成26年度は、これまでの研究成果を踏まえ、SIRT7-MDM2およびSIRT7-VHL複合体、もしくはyeast two-hybridスクリーニングで同定した新規SIRT7結合タンパク質が、どのようなメカニズムによりHIF-1の機能に影響を及ぼすのかを生化学・分子生物学的に明らかにしていく予定である。 一方、SIRT7 knock down細胞の樹立については、標的配列が異なるSIRT7 shRNAベクターを複数構築し、よりknock down効率が高いshRNAを選別する。その後は、そのSIRT7 shRNAベクターを用いて、SIRT7 knock down細胞の樹立し、SIRT7の低酸素・低グルコース適応応答における機能を細胞生物学的に解析する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
当初の研究計画で予定していたSIRT7 knock down細胞の樹立が成功しておらず、その細胞を用いた腫瘍学的解析が出来なかったため、その解析に用いる予定だった費用が、研究分担者において次年度使用額として生じたため。 最終年度である平成26年度は、計画に遅れが生じているSIRT7 knock down細胞の樹立を行い、それを用いた腫瘍学的解析を行う。未使用額分は、研究分担者において、この腫瘍学的解析に用いるための抗体、細胞増殖測定キット、血管新生解析キットなどの購入に用いる予定。
|