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2012 年度 実施状況報告書

遺伝学的危険因子PICALMとBIN1がアルツハイマー病発症に果たす役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24590076
研究機関東京大学

研究代表者

諸橋 雄一  東京大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (40568169)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード細胞生物学 / アルツハイマー病 / エンドサイトーシス
研究概要

本研究課題では、アルツハイマー病(AD)の遺伝学的危険因子として最近同定されたPICALMおよびBIN1といったエンドサイトーシス関連分子が、病因物質であるアミロイドβペプチド産生過程において果たす役割を解明するとともに、これらをターゲットにしたAβ産生を制御するAD分子標的治療薬の開発を目指すものである。当該年度においては、生化学的および細胞生物学的解析により以下のことを明らかにした。まずPICALMに関しては(1)クラスリン被覆ピットにおいてγセクレターゼと共局在すること(2)γセクレターゼ複合体サブユニットの一つニカストリンと結合すること(3)γセクレターゼの後期エンドソームへの輸送を促進すること(4)エンドソームの成熟とそれに伴う内腔の酸性化がγセクレターゼのAβ42産生活性を促進することなどを明らかにし、PICALM機能阻害がγセクレターゼのエンドソーム輸送の制御を介して特に毒性の高いAβ42産生を抑制すること、従ってPICALMはAβ42産生を阻害するAD治療薬の有望なターゲットである可能性を示した。これらの成果をまとめたものを現在Nature Communication誌に投稿中である。またBIN1に関しては(1)βセクレターゼBACE1のリソソームでの分解を促進している(2)BACE1C末端と結合することなどを明らかにし、BIN1が特にBACE1のエンドソームにおける分解/リサイクリング経路選別機構を介してBACE1の定常量を制御し、Aβ産生に関与している可能性を強く示唆した。今後は生細胞イメージングなどによりBACE1輸送制御に関する詳細な細胞生物学的検討を進める。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

RNAi法によるPICALM、BIN1各分子のノックダウン効率が非常に良好で一定の傾向を有する表現型が安定して得られたこと、相互作用解析などに必要なリコンビナントタンパク質が量・精製度共に良好な状態で得られたこと、細胞生物学的解析に不可欠である免疫染色に使用可能な内因性タンパク質を検出する抗体が入手できたことなどが、本研究課題がここまで順調に進展してきた理由として考えられる。

今後の研究の推進方策

引き続き当初の研究計画に基づいてPICALMについてはγセクレターゼやAPP、BIN1に関してはBACE1の輸送を制御する分子機構に関しての解析を進める。具体的にはPICALMやBIN1と協働してこれら輸送を制御するタンパク質を相互作用分子の同定を通じて探索する。またそれぞれのノックアウトマウスを入手できたので、これらから得られた細胞、特に神経細胞におけるPICALM、BIN1の輸送制御機構を主に生化学的、あるいは生細胞イメージングなどの手法により解析してゆく予定である。

次年度の研究費の使用計画

生化学実験用、あるいは細胞生物学実験用試薬を中心としたの消耗品購入、およびPICALMやBIN1相互作用分子同定を目的とした質量分析受託解析などが主な使途となる

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] PICALM impacts on Aβ42 production ratio through modulation of clathrin-mediated endocytosis of γ-secretase2012

    • 著者名/発表者名
      金津邦彦 諸橋雄一 他
    • 学会等名
      日本認知症学会
    • 発表場所
      つくば国際会議場
    • 年月日
      20121026-20121028
  • [学会発表] BIN1 negatively modulates Aβ production from cultured cells.2012

    • 著者名/発表者名
      Miyagawa T, Morohashi Y et al.
    • 学会等名
      Neuroscience 2012
    • 発表場所
      New Orleans, USA
    • 年月日
      20121013-20121017

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公開日: 2014-07-24  

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