研究課題/領域番号 |
24590082
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
小谷 典弘 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (90342782)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 細胞膜上分子 / 2分子会合体 / 肺がん |
研究実績の概要 |
前年度は質量分析器に頼らない相互作用分子の同定を行うために、独自に「決め打ち解析」という方法を開発したが、本年度はそれを実施した。その結果、2つの細胞膜上分子がEML4-ALKマウス肺がん細胞特異的にCHL1と2分子会合体を形成する可能性が示された(特許出願の関係から分子名を分子Aおよび分子Bとする)。分子AおよびBは、免疫沈降法でEMARS法によるFITC標識が確認された上、共焦点顕微鏡および金コロイド免疫染色による透過型電子顕微鏡解析により、CHL1との共局在が示された。次に、これら2分子会合体(CHL1-分子AおよびCHL1-分子B)について、癌形質との関連の解析および2分子会合体の存在を検出するための2分子会合体認識抗体の作製を行うため、2つの分子の共発現細胞株の作製を行った。HEK293細胞に通常の発現ベクターによりCHL1および分子Aの共発現を試みたが、どちらか1分子の発現は可能であるものの、効率的に2分子が共発現している細胞を得ることは出来なかった。そこで、レンチウイルスベクターによる発現実験に方針を変更して2分子共発現細胞株の取得を目指した。その結果、レンチウイルス感染後1週間程度は2分子が共発現した細胞が見られたが、培養を継続すると、どちらか1分子の発現が欠失(原因不明)し、安定的な2分子共発現細胞は得られなかった。その後、1分子ずつ発現させる2段階発現方式や、FACSsortによる2分子共発現細胞のセレクションなどを試みた結果、発現量が両分子とも低い2分子共発現細胞が得られた。このように、2分子共発現細胞の作製ステップに予想外の時間を取られたため、研究費の期間延長を申請した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
概要に記したとおり、2分子共発現細胞株の作製に時間がかかってしまったため、研究計画に遅れが出ている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、2分子共発現細胞株や2分子会合体認識抗体の作製を行う。共発現細胞株の作製では、CHL1-分子Bの組み合わせも試行する。抗体作製については、2分子会合体認識抗体の作製法として、どのような免疫法が適切か検討し、実施する。 また、本研究はマウス肺がん細胞を使用して進められてきたが、臨床応用などを考えると、ヒトがん細胞についても同様の試験が必要になると考えられる。まず、ヒト培養細胞を使用して同様の解析が可能かどうか検討することも視野に入れる。
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次年度使用額が生じた理由 |
2分子共発現細胞株の作製に予想外に手間取り、時間がかかってしまったため、当初予定していた、癌形質と分子会合体の相関解析や2分子会合体認識抗体の作製まで実施することが出来なかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
2分子共発現細胞株の作製および抗体作製を実施する。合わせて、ヒト培養細胞を使用して同様の解析が可能かどうかの検討も行う。
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