研究概要 |
最近私は、精製したHSP25やHSP70が、試験管内でβアミロイドの凝集を抑制することを見出した。一方、HSP32, HSP47, HSP60にはこのような活性がないことも見出した。この研究には、チオフラビンという蛍光物質とβアミロイドを反応させると、βアミロイドの凝集依存に蛍光が高まる現象を利用した。そこでこの方法を用いて、他のHSP(HSP90, HSP104)、及び小胞体シャペロン(calreticulin, calnexin, GRP78, GRP94, ORP150)に関しても、βアミロイドの凝集を抑制するかを検討した。各分子シャペロンの精製は、バキュロウィルスを用いてこれらを過剰発現させた昆虫細胞から行った。またGRP78に対するErdj4など、シャペロン活性を促進する補助因子(コシャペロン)も精製しその効果を検討した。一方、細胞内でのβアミロイド凝集に対する種々の分子シャペロンの効果も検討した。具体的には、細胞内でβアミロイドを過剰発現させ、凝集したβアミロイドを遠心法で検出する系において、種々の分子シャペロン(上述)の過剰発現の効果を検討した。 (2)種々の分子シャペロンの抗炎症作用 最近我々は、炎症性細胞においてHSP70を過剰発現させると、炎症性サイトカインの発現・産生が抑制されること、及びこの機構としてHSP70が炎症誘導性転写因子であるNF-κBの活性を直接抑制することを見出した。そこで本研究では、他の分子シャペロン(HSP25, HSP32, HSP47, HSP60, HSP70, HSP90, HSP104, calreticulin, calnexin, GRP78, GRP94, ORP150)を炎症性細胞で過剰発現させ、炎症性サイトカインの発現・産生を抑制するかを調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述のように、HSP(HSP90, HSP104)、及び小胞体シャペロン(calreticulin, calnexin, GRP78, GRP94, ORP150)に関して、βアミロイドの凝集を抑制するかを検討した。一方、細胞内でのβアミロイド凝集に対する種々の分子シャペロンの効果も検討した。さらに、分子シャペロン(HSP25, HSP32, HSP47, HSP60, HSP70, HSP90, HSP104, calreticulin, calnexin, GRP78, GRP94, ORP150)を炎症性細胞で過剰発現させ、炎症性サイトカインの発現・産生を抑制するかを調べた。このように、当初の予定通りに研究は進んでいる。
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