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2013 年度 実施状況報告書

アレルギー性疾患発症における時計遺伝子の機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 24590088
研究機関自治医科大学

研究代表者

柏田 正樹  自治医科大学, 医学部, 准教授 (20270639)

キーワード時計遺伝子 / アレルギー / 肥満細胞
研究概要

本研究では、未だ不明な点が多いアレルギー性疾患の発症と概日リズムの関係について注目し、時計遺伝子によるアレルギー発症制御の分子機構を明らかにすることを目的としている 。これまで申請者らは時計遺伝子の一つ、NFIL3の各種免疫細胞の分化や機能発現における役割を、NFIL3欠損(KO)マウスを用いて明らかにしてきた。昨年度は、代表的なアレルギー疾患モデルであるマウスの気道炎症モデルを用い、NFIL3の発現が、気道炎症の発症と病態に大きく影響を与えることを明らかにした。肥満細胞は抗原に反応し、ヒスタミンなどのケミカルメディエーターを産生することによりその症状を悪化させるなど、アレルギー性疾患の病態において非常に重要な役割を持っている。本年度は、肥満細胞の発生分化と活性化におけるNFIL3の役割を解析した。
NFIL3 KOマウスとWTマウスの骨髄由来肥満細胞(BMMC)について検討し、以下のことを明らかにした。1)KO BMMCにおいても、IL-3存在下でWTと同様、4週間程度で98%以上の細胞がc-kit陽性FceRI陽性となった。即ち、IL-3依存的BMMCの産生には、NFIL3の発現は必要ない。2)BMMCは抗原刺激によりIL-6とTNFaを産生するが、それらの産生量にはKOとWT BMMCの間で有意な差が見られなかった。即ち、TH2細胞とは異なり、NFIL3は肥満細胞においてこれら炎症性サイトカインの産生の制御には関わっていない可能性がある。3)WT BMMCにおけるNFIL3の発現は、非常に低く、PMA/Ionomycin刺激や抗原刺激により強く誘導される。このことは、上記2)の結果を説明する理由の一つである。従って健常時の細胞ではなく、感作させた細胞でNFIL3の誘導が見られる細胞におけるNFIL3の役割を解析する必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

NFIL3 KOをマウスを用いて、BMMCの分化と活性化におけるNFIL3の役割を明らかにした。しかしNFIL3の発現量が低く、抗原感作時における検討が必要になった。また肥満細胞欠損マウス(NFIL3 KO/KitW-sh/W-sh)を作成し、移入実験を予定していたが、現在のところ実験に供するための十分なコロニーを確保できていない。そのため移植実験は26年度以降に持ち越される。

今後の研究の推進方策

26年度は、BMMCを慢性的に感作させたモデルを用いて、その活性化におけるNFIL3の機能解析を早めに終了させる。モデルマウスとしてNFIL3 KO/KitW-sh/W-shの作成を終了させ、in vivoの系を用いた、肥満細胞の活性化におけるNFIL3の機能解析を重点的に行う。

次年度の研究費の使用計画

予定していたマウスモデルの樹立が完了していないため、マウス維持、購入費における支出が少なかった。また参加を予定していた学会への出張が見送られたため、旅費が未使用である。
解析の中心となるフローサイトメトリーや培養に使用する抗体やサイトカイン、各種試薬や器具の購入、マウスの購入と維持費等、また国内外の学会発表、出席にかかる費用に使用する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] NFIL3-Deficient Mice Develop Microbiota-Dependent, IL-12/23-Driven Spontaneous Colitis.2014

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi, T., Steinbach, E.C., Russo, S.M., Matsuoka, K., Nochi, T., Maharshak, N., Borst, L.B., Hostager, B., Garcia-Martinez, J.V., Rothman, P.B., Kashiwada, M., Sheikh, S.Z., Murray, P.J. and Plevy, S.E.
    • 雑誌名

      Journal of Immunology

      巻: 192 ページ: 1918-1927

    • DOI

      10.4049/jimmunol.1301819

    • 査読あり
  • [雑誌論文] TH17 cell differentiation is regulated by the circadian clock.2013

    • 著者名/発表者名
      Yu, X., Rollins, D., Ruhn, K.A., Stubblefield, J.J., Green, C.B., Kashiwada, M., Rothman, P.B., Takahashi, J.S., and Hooper, L.V.
    • 雑誌名

      Science

      巻: 342 ページ: 727-730

    • DOI

      10.1126/science.1243884

    • 査読あり
  • [学会発表] NFIL3 deficient mice develop IL-12/23 driven spontaneous colitis.2013

    • 著者名/発表者名
      3) Kobayashi, T., Russo, S.M., Matsuoka, K., Nochi, T., Maharshak, N., Borst, L.B., Hostager, B., Garcia-Martinez, J.V., Rothman, P.B., Kashiwada, M., Murray, P.J., Plevy, S.E.
    • 学会等名
      1st Annual Meeting of Asian Organization for Crohn’s & Colitis
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20130613-20130614
  • [学会発表] NFIL3 suppresses Rorγt transcription and links intestinal Th17 cell differentiation to the circadian clock network.2013

    • 著者名/発表者名
      2) Yu, X., Rollins, D., Kashiwada, M., Rothman, P., Takahashi, J. and Hooper, L.
    • 学会等名
      78th Cold Spring Harbor Symposium on Quantitative Biology; Immunity & Tolerance.
    • 発表場所
      Cold Spring Harbor Laboratory, New York, USA
    • 年月日
      20130529-20130603
  • [学会発表] NFIL3 suppresses Rorγt transcription and links intestinal Th17 cell differentiation to the circadian clock network.2013

    • 著者名/発表者名
      1) Yu, X., Rollins, D., Kashiwada, M., Rothman, P., Takahashi, J. and Hooper, L.
    • 学会等名
      IMMUNOLOGY 2013
    • 発表場所
      Honolulu, USA
    • 年月日
      20130503-20130507

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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