本研究課題は、発症の時間特異性の見られるアレルギー性疾患と時計遺伝子の相互作用について、種々のアレルギーモデルを用いて検証するものである。これまで申請者らは時計遺伝子の一つ、NFIL3の各種免疫細胞の分化や機能発現における役割を、NFIL3 KOマウスを用いて明らかにしてきた。本研究では、気道炎症モデルを用いた解析、I型アレルギーの中心的役割を持つ肥満細胞におけるNFIL3の役割について解析した。NFIL3 KOマウスの骨髄由来肥満細胞において、抗原刺激によるサイトカイン、ケモカイン産生は、これまで報告してきたTh2細胞における産生とは、明らかに異なる結果が得られた。特にNFIL3はTh2細胞においてTh2サイトカイン遺伝子の発現制御に関わっているが、肥満細胞においても発現制御に関わっている結果が得られたが、これは協調的に働く他の転写制御因子の発現パターンが異なるためであると考えられる。また脱顆粒反応や組織学的解析より、肥満細胞の機能発現にNFIL3が深く関わっている結果が得られた。本年度は使用マウス数を増やし、有意な結果が得られている。しかし、引き続きその分子メカニズムの解析が必要である。
|