研究課題/領域番号 |
24590092
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
小島 裕子 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60231312)
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キーワード | アポトーシス / 分子局在 / TRAIL / がん治療 / Death receptor |
研究概要 |
1)TRAIL(TNF-related apoptosis inducing ligand)に抵抗性を示すヒト腫瘍細胞株HeLaについて、DR5(Death receptor 5)タンパク質が核へ運ばれずに細胞表面に発現し、TRAILと結合してより強い細胞死が誘導可能な条件で、in vivoでの抗腫瘍効果を見るため、shRNAによりインポーチンβ1をノックダウンした変異株の作製を試みた。テトラサイクリン誘導性にshRNAを発現する市販のプラスミドベクターpSingle-tTS-shRNAのTight/U6下流に、インポーチンβ1のsiRNA配列とヘアピンループ形成配列、およびそれらを挟む制限酵素サイトを含む合成オリゴDNAを連結、大腸菌に遺伝子移入した。得られたプラスミドDNAをHeLaにトランスフェクションし、セレクションを行ったが、ウェスタンブロットにおいて、インポーチンβ1の発現低下が確認できるクローンが得られなかった。そこで、テトラサイクリン誘導性にノックダウンを誘導する市販のpTRIPZレンチウイルスベクターに、3種のインポーチンノックダウン標的配列を組み込んだものそれぞれを、HEK293Tにパッケージング、増幅したウイルスを精製してHeLaに感染させた。ピューロマイシンによるセレクションの後、3種全てでテトラサイクリン誘導性に発現するTurboRFPの蛍光とインポーチンβ1のノックダウンが確認された。 2)核内DR5結合タンパク質を同定する目的で、HeLaとTRAIL感受性ヒト腫瘍細胞株DU145の核タンパク質可溶化分画を調製、抗体結合ビーズを用いてDR5と結合タンパク質複合体を免疫沈降した。電気泳動後に抗体特異的なバンドとコントロールバンドを切り出し、トリプシン消化後ペプチドを抽出、LC/MS/MSにて解析を試みた。データ解析を行ったが、多数の候補タンパク質が上がったものの量的に少なく、同定には至らなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
インポーチンβ1のshRNAをHeLa細胞に導入するのに、プラスミドDNAのトランスフェクションでは導入効率が低く、クローニングも行ったがテトラサイクリン依存性の顕著なノックダウンが確認できなかった。その後、導入効率を上げ、且つノックダウンの成否を簡便に確認できるシステムを選択すること、及びその発注から納品までに時間を要した。レンチウイルスの系でテトラサイクリン誘導性にインポーチンβ1をノックダウンした細胞の調製は、バルクの細胞を得るまでは順調に進んだが、マウスに異種移植するために細胞を増やした段階で、ノックダウンの効果が減弱していることが判明、クローニングの必要性が生じたため、平成25年度内にマウスへの異種移植に着手することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
1)インポーチンβ1をノックダウンするバルクのHeLa細胞変異株3種について、それぞれクローニングを行ってウェスタンブロットでインポーチンの発現低下を確認し、安定したインポーチンβ1 shRNAを誘導する細胞株を早急に樹立する。コントロール細胞と共にマウスに異種移植し、腫瘍生着後にshRNAを誘導するためのテトラサイクリンと、DR5に対するアゴニスティック抗体を投与して、抗腫瘍効果を比較検討する。 2)核内DR5結合タンパク質の同定に向け、FlagタグとGSTタグを付けたDR5を作製してHeLa細胞に発現させる。この細胞から核可溶化分画を調製、抗Flag抗体と抗GST抗体を用いて免疫沈降し、カラムで精製濃縮して電気泳動後、プロテアーゼでGSTを切断、LC/MS/MS解析を行って、核内DR5結合するタンパク質の絞り込みと同定を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
確かに次年度使用額は生じているが、3,658円と小額であり、特筆すべき理由はない。 1) マウス異種移植前に必要なものとして、移植用細胞のモノクローン化とそれらの培養・インポーチンノックダウンの確認・DR5タンパク質の局在解析・免疫不全マウス調達に要する物品類、異種移植後に必要なものとして、移植腫瘍塊の組織学的解析に必要な物品類の購入が必要である。 2) 核内でのDR5結合タンパク質同定に必要なものとして、DR5にFLAGタグとGSTタグを付加するためのクローニングとトランスフェクション試薬・それぞれのタグに対する抗体とカラム作製用ビーズ・LC/MS/MS解析に要するプロテアーゼ等の試薬購入と解析代が必要となる。この他、学会発表・専門誌への投稿など、当研究成果のまとめや発表に必要な経費も含まれる。
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