研究課題
私たちは、ホスホリパーゼA1のアイソフォームであるDDHD1が、新規マリファナ受容体であるG protein-coupled receptor 55 (GPR55)のアゴニストのリゾホスファチジルイノシトール(LPI)を産生することを、精製酵素および酵素発現細胞を用いた解析により明らかにしている。また、遺伝性痙性対麻痺の亜型SPG28患者の遺伝子解析より、遺伝性痙性対麻痺がDDHD1の変異により起こることを明らかにしている。また、SPG28患者のリンフォブラストはミトコンドリアの機能低下を起こすことを見いだしている。DDHD1のミトコンドリアに対する影響をさらに詳細に調べた。COS-7細胞にミトコンドリア特異的ホスホリパーゼD(MitoPLD)を発現すると、ミトコンドリアの凝集が観察され、ミトコンドリア表面のホスファチジン酸(PA)の蓄積がミトコンドリアの融合に関与することが示唆された。一方、DDHD1を発現させると、断片化したミトコンドリアを持つ細胞が観察された。DDHD1によるPA、その他のリン脂質分解がミトコンドリアの断片化に関与することが示唆された。ミトコンドリアの機能の指標としてミトコンドリアで産生させるATPの量を測定したが、DDHD1の発現により有意な変化は認められなかった。SPG28患者のリンフォブラストでは、DDHD1の変異により、ミトコンドリアで産生させるATPの量に低下が観察された。DDHD1の変異はミトコンドリア機能に低下をもたらすが、過剰発現はその影響が低いことが考えられた。しかし、レトロウイルス発現系を用いてDDHD1の安定発現細胞を作成すると、コントロールのウイルスの場合は、いずれの細胞においてもトランスフォーマントが得られたが、組換えDDHD1ウイルスを感染させた場合、HEK293のトランスフォーマントの数が有為に低下した。HeLa細胞では単離することができなかった。DDHD1の発現が細胞の生存に負の影響を及ぼすことが示唆された。
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