• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

次世代ワクチンの開発を目指した抗体産生制御メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 24590098
研究機関東京理科大学

研究代表者

原田 陽介  東京理科大学, 生命医科学研究所, 助教 (20328579)

研究分担者 久保 允人  東京理科大学, 生命医科学研究所, 教授 (40277281)
キーワードT細胞 / ワクチン / メモリー / Notch / Tfh
研究概要

ナイーブT細胞が抗原と出会うとクローン増殖とエフェクターT細胞への分化が起こる。病原体を排除した後、ほとんどのT細胞は死滅し、一部のT細胞はメモリー細胞として長く体内で維持される。このメモリーT細胞は再び同じ病原体に感染した際には素早く反応し、外敵の排除に働く。ワクチンの目的の1つはメモリーT細胞を体内に作り出すことにあるが、どのような因子がメモリーT細胞へのコミットメントに必要であるのかは未だによくわかってはいない。どのようなシグナルがメモリーT細胞の形成に働いているかを理解することは今後のワクチン開発にとって大変重要である。
平成25年度はNotchシグナルがメモリーT細胞の形成にどのような役割を持っているのかを検討した。Notchシグナルの下流で働く転写因子であるRBP-Jを欠損したT細胞はfollicular helper T (Tfh)細胞に分化した後、メモリー細胞として維持されなかった。Tfh細胞がメモリー細胞に変化する際にはCXCR5の発現の低下とCCR7の発現の上昇を伴って、T細胞領域とB細胞領域の境界付近に移動し、長期に維持されることがわかったが、RBP-J欠損Tfh細胞はCCR7の発現上昇が起こらず、T-B境界領域への移行も起こらなかった。
これらの結果から、NotchシグナルはメモリーT細胞への分化に必須のシグナルであることが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Tfh細胞がメモリーT細胞になる際にどのようなシグナルが必要であるのか、そしてどこでメモリーT細胞が維持されているのかを明らかにすることができた。この成果は将来のワクチン開発にとって重要な知見となり得る。

今後の研究の推進方策

Notch signalがどのような遺伝子の転写を介してメモリーT細胞への分化を調節しているのかを明らかにするために、野生型とRBP-J欠損T細胞の間で遺伝子発現の網羅的な解析を行う。また、Notch/RBP-Jのターゲット遺伝子を特定するためにChIP sequenceを行う。遺伝子発現解析の結果と照らしあわせて、候補遺伝子を特定する。その結果洗い出されたターゲット遺伝子の欠損マウスを作製し、想定されるメカニズムが正しいかを検証する。

次年度の研究費の使用計画

次世代シークエンサーを用いた遺伝子発現の網羅的な解析を予定していたが、前年度に達成できなかったために、そのための試薬、解析のための費用が使用されずに残った。
野生型とRBP-J欠損T細胞の間で次世代シークエンサーによる遺伝子発現の網羅的な解析 (RNA sequence)、Notch/RBP-Jのターゲット遺伝子を特定するためのChIP sequenceを遂行するために使用する。また、ターゲット遺伝子の欠損マウスを作製するためにも使用していく。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Quantitative analysis by surface plasmon resonance of CD28 interaction with cytoplasmic adaptor molecules Grb2, Gads and p85 PI3K.2014

    • 著者名/発表者名
      Higo K, Oda M, Morii H, Takahashi J, Harada Y, Ogawa S, Abe R.
    • 雑誌名

      Immunol Invest.

      巻: 43 ページ: 278-291

    • DOI

      10.3109/08820139.2013.875039

    • 査読あり
  • [学会発表] Role of Notch signaling in the generation and function of T follicular helper (TFH) and memory T cells2013

    • 著者名/発表者名
      Harada,Y., Tokoyoda, K., Miyauchi, K., Harada,Y., Hanazawa, A., Takemori, T., Kubo, M.
    • 学会等名
      日本免疫学会
    • 発表場所
      千葉
    • 年月日
      20131211-20131213
  • [学会発表] Role of Notch signal in the generation of follicular helper T cells (TFH) and memory T cells2013

    • 著者名/発表者名
      Harada,Y., Tokoyoda, K., Miyauchi, K., Harada,Y., Hanazawa, A., Ohno, S., Yanagi, Y., Takemori, T., Kubo, M.
    • 学会等名
      15th International Congress of Immunology
    • 発表場所
      Milan
    • 年月日
      20130822-20130827
  • [学会発表] Role of Notch signal in function and generation of T follicular helper (TFH) and memory T cells2013

    • 著者名/発表者名
      Harada,Y., Tokoyoda, K., Miyauchi, K., Harada,Y., Hanazawa, A., Takemori, T., Kubo, M.
    • 学会等名
      The 6th International Workshop of Kyoto T cell Conference
    • 発表場所
      Kyoto
    • 年月日
      20130603-20130607
  • [学会発表] Role of Notch signaling in the generation and function of T follicular helper (TFH) and memory T cells2013

    • 著者名/発表者名
      Harada,Y., Tokoyoda, K., Miyauchi, K., Harada,Y., Hanazawa, A., Takemori, T., Kubo, M.
    • 学会等名
      The Joint international Meeting of The 78th Meeting of the Japanese Society of Interferon and Cytokine Research and The 21st International Symposium on Molecular Cell Biology of Macrophages
    • 発表場所
      Tokyo
    • 年月日
      20130520-20130521

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi