生体内でアポトーシスに陥った細胞は、マクロファージなどの貪食細胞によって速やかに除去される。しかし、この除去システムに何らかの破綻が生じると、アポトーシス細胞が残存し、ネクローシスに移行し細胞が原因となり、強い炎症応答を引き起こす。この炎症 応答は、老化に伴う様々な疾病に関わる可能性がある。そこで本研究では、アポトーシス細胞に対する応答やマクロファージの貪食能に着目し、アポトーシス細胞貪食除去における老化の影響を調べた。 投与したアポトーシス細胞の残存量を解析したところ、若年マウスでは速やかにアポトーシス細胞が除去されているのに対し、老化マウスでは長時間残存していることが確認できた。次に浸潤細胞を経時的に調べると、炎症応答時にみられる好中球の浸潤は 若年マウスと比較して老化マウスの方が有意に増加し、かつ、早期に浸潤していることが確認できた。 昨年までに老化マウスでは、腹腔常在性マクロファージの貪食能が低下し、アポトーシス細胞の速やかな除去が行われず、長時間アポトーシス細胞が残存し、強い炎症応答を引き起こすことを示した。また老化マウスの腹腔常在性マクロファージが、前活性化状態にあることも明らかにしており、この前活性化状態が、マクロファージのM1/M2マクロファージへの分化の差であることを示し、老化マウスでは、炎症性マクロファージであるM1マクロファージが有意に増加していることを明らかにした。
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