研究課題/領域番号 |
24590101
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研究機関 | 明治薬科大学 |
研究代表者 |
長浜 正巳 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (60281169)
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キーワード | リボソーム生合成 / AAA ATPase / RNA代謝 |
研究概要 |
真核細胞リボソームの生合成では、核小体で生じた前駆体RNAを中心に、多数のリボソームタンパク質と生合成補助因子による会合および脱会合を経ながら、リボソーム前駆体が段階的に成熟する。シャペロン様AAAファミリーATPaseであるNVL2は、RNAヘリカーゼDOB1との結合を介してリボソーム前駆体と相互作用し、分子複合体の構造変換に寄与すると考えられる。本研究の目的は、NVL2が作用するrRNA代謝複合体の構成成分および機能を明らかにし、リボソーム生合成過程でのRNA代謝におけるNVL2の役割を解明することである。 これまでに明らかにした、DOB1を構成因子に含むヒトTRAMPおよびExosome複合体の分子間相互作用について、平成25年度では、それらのNVL2による制御に関する検討を行った 。NVL2は、分子内に2ヶ所のATP結合ドメインを有するATPaseである。各ドメインには、ATPの結合に必要なWalker Aモチーフ、および加水分解に必要なWalker Bモチーフが存在し、これらに変異を導入することにより、ATPaseサイクルの特定段階をブロックしたドミナントネガティブ変異体を作成することができる。 そこで、これらの変異体をテトラサイクリンにより発現誘導可能な細胞株を樹立した。これらの細胞で、TRAMPおよびExosome複合体のサブユニットをFLAGタグ付加タンパク質として発現させ、共免疫沈降法により他の複合体構成成分との相互作用における影響について検討した。さらに、グリセロール密度勾配遠心により細胞抽出液を分画し、両複合体の沈降度から、それらの相互作用について検討した。しかし、これらの解析を通して、細胞内における複合体の挙動に、NVL2変異体の発現による影響を認めることはできなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度において明らかにした、RNAヘリカーゼDOB1を構成因子に含むRNA代謝複合体について、その構造や機能がNVL2による調節を受けるかどうかについて検討を行った。現時点までにNVL2による制御は認められないものの、結果の如何によらず、研究計画そのものとしてはほぼ順調に進行したと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度における研究では、DOB1を構成因子として含むTRAMPおよびエキソソーム複合体において、NVL2による構造および機能制御に関わる現象を見いだすことはできなかった。この結果を受け平成26年度では、プロテオーム解析の手法を用い、NVL2により制御される新たなDOB1結合因子の探索を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度研究費のうち、約13万円が未使用として残された。これは本研究が年度をまたぎ継続的に進行する過程で、一部の物品の使用時期にずれが生じたことによるものである。 次年度使用額に計上された予算は、研究の円滑な継続に必要な物品購入に充てるものであり、平成26年度の4月における物品購入にて使用される予定である。
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