研究課題/領域番号 |
24590105
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪薬科大学 |
研究代表者 |
福永 理己郎 大阪薬科大学, 薬学部, 教授 (40189965)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 翻訳制御 / プロテインキナーゼ / MAPキナーゼ / シグナル伝達 / リン酸化 / 翻訳開始 |
研究概要 |
平成24年度の研究計画に基づいて,以下の研究を実施した。まず,ヒトMnk1の野生型および各種変異体を安定に発現するMnk-DKO-MEF細胞を用いてmTORシグナル系およびMnkシグナル系におけるRapamycinやCyclosporinの影響を調べたところ,MEFでは顕著な差は認められなかった。しかし,この解析の過程で,Mnk1を強制発現させたMnk-DKO細胞を血清で刺激すると,リン酸化特異抗体で検出したeIF4Gのリン酸化Ser1108レベルが急速かつ劇的に低下することを見出した。 そこで次に,脱リン酸化阻害剤(オカダ酸やCyclosporin)および各種のMnk1変異体を用いてSer1108の脱リン酸化について検討した結果,プロテインホスファターゼの活性化が関与しているのではなく,Ser1108近傍のSer1105あるいはSer1106残基がリン酸化される可能性が示唆された。今後,この点を明らかにすることが重要であり,次年度に検討する予定である。 他方, eIF4EやeIF4G とMnk1との相互作用について免疫沈降法にについて解析した結果,構成的活性化変異(Thr344Glu変異)を有するMnk1が,基質であるeIF4Eと比較的安定な複合体を形成することを見出した。野生型Mnk1や他の変異体では安定複合体を形成しないことから,Thr344Glu変異体は,いわゆる基質トラップ変異体であると考えられる。基質トラップ変異体はMnk1の基質タンパク質を探索する上で極めて有用であり,Mnk1の他の点変異との組合わせによって高い効率で基質と会合する可能性も示唆された。今後は,この基質トラップ変異体を利用してMnk1の未知の標的タンパク質の同定を試みる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
『研究実績の概要』で記したように,当初の計画はおおむね順調に進展した。しかしc-MycのmRNA配列を利用したレポーターアッセイ系は本研究における翻訳調節のレポーター系には適さないことが明らかになり,この部分に関しては予定通りに計画を進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
『研究実績の概要』で記した成果を踏まえ,それらをさらに発展させた研究をH25年度以降の計画に沿ってに実施していく予定である。また,H24年度に達成できなかった翻訳調節のレポーターアッセイ系の難点を克服するために,新たにMcl-1のmRNA配列を含む翻訳調節レポーターアッセイ系の樹立を試み,これを用いて翻訳制御に関与するシス配列の解析を行なうことにした。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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