研究課題/領域番号 |
24590119
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研究機関 | 千葉科学大学 |
研究代表者 |
大熊 康修 千葉科学大学, 薬学部, 教授 (20127939)
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キーワード | 小胞体ストレス / アルツハイマー病 / 神経分化 / 神経幹細胞 / 発達障害 |
研究概要 |
1) 酸化ストレス・小胞体ストレス・Aβ・タウによるHRD1の不溶化 各種ストレスによるHRD1の不溶化機構について詳細に検討した。昨年度は、小胞体ストレスによってもHRD1の不溶化は認められなかったこと。また、培養神経細胞を用いて、内因性AβによるHRD1タンパク質の不溶化を検討した結果、Aβ負荷によるHRD1タンパク質の不溶化は認められなかった。一方、過酸化水素等による酸化ストレスの惹起により、不溶化することを明らかにした。今年度は、さらに、16-20ヶ月齢におけるヒト変異型APP遺伝子導入A負荷マウスの大脳皮質においても、HRD1タンパク質の不溶化は認められなかった。また、タウ負荷によってもHRD1タンパク質の不溶化は認められなかった。一方、酸化ストレスでは、過酸化水素以外でもロテノンおよび4-ヒドロキシノネナールによりHRD1タンパク質が不溶化することが明らかとなった。 2)またHRD1ならびに小胞体ストレスが神経幹細胞の分化誘導能にいかなる異常を及ぼすかを検討した。その結果、小胞体ストレス負荷は、細胞死に影響することなく、神経細胞の発現を増加させた。一方、樹状突起は、小胞体ストレス負荷により著明に減少した。さらに、小胞体ストレス負荷は、樹状突起の長さを著明に抑制させた。さらに、小胞体ストレスによる神経分化の促進および樹状突起の伸張抑制は、小胞体ストレスにより誘導されるユビキチンリガーゼHRD1の発現を抑制することにより、対照群と同程度まで回復することが明らかとなった。また、小胞体ストレスは、シナプス形成因子かつ自閉症原因因子であるNeuroligin3、Neurexin-1およびShank3の発現量を著明に抑制させた。以上の結果より、小胞体ストレスはユビキチンリガーゼHRD1の発現増加を介して樹状突起の伸張およびシナプス形成を抑制している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の研究実績の概要に記述した成果を基に、学会発表として、日本神経精神薬理学会および日本薬理学会年会などに発表した。また、その成果を国際雑誌に発表した。
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今後の研究の推進方策 |
今後、HRD1タンパク質の不溶化と神経細胞内での不溶化した凝集体の動態を検討すること、ならびに小胞体ストレスと神経の分化と発達障害との関連を更に検討する目的でin vivoモデルにおいても検討する。
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