研究課題
1)酸化ストレス・小胞体ストレス・Aβ・タウによるHRD1の不溶化各種ストレスによるHRD1の不溶化機構について詳細に検討した。前年度では、各種酸化ストレスよりHRD1タンパク質が不溶化することが明らかとなった。蛍光免疫二重染色法を用いて、酸化ストレス誘導試薬によるHRD1凝集体形成の可能性について検討を行った。SH-SY5Y細胞を用いて、γ-tubulinおよびHRD1タンパク質に対する蛍光二重染色を行ない、HRD1タンパク質の細胞内局在の変化について解析を行った。その結果、通常小胞体膜上に局在するHRD1タンパク質が、酸化ストレス誘導試薬であるH2O2、ロテノンおよび4-ヒドロキシノネナールの曝露により、小胞体外に凝集し、微小管形成中心付近に位置することも明らかになり、凝集体であるアグリソーム形成に基づく可能性が示唆された。2) 本研究では、マウス胚性腫瘍細胞P19を用いた解析により、小胞体ストレスは神経分化の促進および神経突起の伸長抑制を誘発させることをすでに明らかにした。また小胞体ストレスによる神経分化および神経成熟の異常にユビキチンリガーゼHRD1が関与することを見出した。今年度は、バルプロ酸誘発性自閉症モデルマウス脳内において、小胞体ストレスが負荷状態にあること、および神経分化系譜が亢進状態にあることが認められた。また、自閉症モデルマウス脳内においても神経突起の伸長が抑制されていた。さらに、小胞体ストレスによる突起伸長の抑制はP19細胞だけではなく、マウス大脳皮質由来初代神経細胞においても確認された。したがって、自閉症発症のメカニズムに小胞体ストレスが関与することが示唆された。さらに、小胞体ストレスによる自閉症発症にユビキチンリガーゼHRD1が関与する可能性が推察された。
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