研究課題/領域番号 |
24590120
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
川島 紘一郎 北里大学, 薬学部, 客員教授 (70095008)
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研究分担者 |
堀口 和秀 福井大学, 医学部, 講師 (20377451)
藤井 健志 同志社女子大学, 薬学部, 教授 (80255380)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | α7 nAChR / SLURP-1 / アロステリック・リガンド / 扁桃 / T細胞 / methyllycaconitine |
研究概要 |
α7ニコチン性アセチルコリン(ACh)受容体(α7 nAChR)は,T細胞の分化誘導を始めとする免疫機能調節に関与している可能性が報告されている.内因性ペプチドSLURP-1は,α7 nAChRの陽性アロステリック・リガンドである. 我々は,SLURP-1が,T細胞を始めとする免疫細胞上のα7 nAChRを介して,免疫および炎症反応の調節に関与している可能性を検討した.①抗ヒトSLURP-1抗体を用いて,免疫組織化学的手法により,ヒト免疫組織におけるSLURP-1発現を調べた.②T細胞のモデルとしてヒトT細胞系白血病細胞株MOLT-3を用いて,SLURP-1の細胞増殖とACh合成の及ぼす作用を検討した. 結果:①脾臓,リンパ節,および扁桃のリンパ濾胞周辺部に樹状細胞様形態をしたSLURP-1抗体陽性細胞(SLURP-1陽性細胞)の発現を発見した.SLURP-1陽性細胞は,樹状細胞,T細胞,B細胞,マクロファージ,単球,マスト細胞などの近傍に存在していた.これらの結果は,SLURP-1が,各種免疫細胞上のα7 nAChRにおいて,T細胞が産生・遊離したAChの作用を増強する可能性を支持するものである.②SLURP-1は,MOLT-3の増殖を抑制し,細胞内ACh含量およびACh合成酵素遺伝子発現を増大させた.これらの作用は,α7 nAChR特異的拮抗薬methyllycaconitineは,これらの作用を遮断した.以上の結果から,SLURP-1は,ACh のα7 nAChRを介する作用を増強して,T細胞の発達,分化およびコリン作動系活性を促進して,免疫および炎症反応の調整に関与する可能性が明らかとなった. 今後は,SLURP-1陽性細胞の特定と,ヒト末梢血リンパ球の機能と分化の調節におけるα7 nAChRの役割を検討する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SLURP-1のアミノ酸配列には種差があるために,免疫組織化学的検討のためにヒト組織を使用する必要があるため,当初の準備に手間取ったが,その後は順調に研究は進行している.
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今後の研究の推進方策 |
ヒト末梢血リンパ球の手配に若干の時間がかかる可能性が考えられる.新たな共同研究者を見つけることにより,解決できるものと考えている.
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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