研究課題/領域番号 |
24590122
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
石井 邦雄 北里大学, 薬学部, 教授 (90137993)
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研究分担者 |
中原 努 北里大学, 薬学部, 准教授 (10296519)
森 麻美 北里大学, 薬学部, 助教 (80453504)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 薬理学 / 微小循環 / 糖尿病 / 血管生物学 / 網膜 / 血管内皮 / 一酸化窒素 |
研究概要 |
健常ラットを用いた正常時網膜循環調節機構の解明に関し,in vivo 網膜血管機能実験を行った. (1) 網膜血管内皮細胞から放出される内皮由来過分極因子 (EDHF) の同定:高コンダクタンス Ca2+ 活性化 K+ (BKCa) チャネルを活性化させる EDHF 候補であるエポキシエイコサトリエン酸 (EETs) の関与について検討した.EETs 阻害薬 [17-ODYA, 14,15-EE5(Z)E] の硝子体内投与により,内皮依存性血管拡張薬 [acethylcholine (ACh)] による網膜血管拡張反応は有意に減弱した.以上より,ACh による網膜血管拡張反応は,EETs の産生を介した BKCa チャネル活性化によることが示唆された. (2) 一酸化窒素 (NO) による網膜循環調節機構の解明:網膜血管拡張機序において NO の下流にあるプロスタグランジン (PGs) の分子が PGI2 であるか否かについて検討した.PGI2 合成酵素阻害薬 [U51605] あるいは IP 受容体遮断薬 [CAY10441] の硝子体内投与は,NO 供与体 [NOR3] による網膜血管拡張反応を有意に減弱させた.このときの抑制の程度は,PGs 合成の律速酵素であるシクロオキシゲナーゼ阻害薬 [indomethacin] によるものとほぼ同程度であった.従って,NO による網膜血管拡張反応は,PGI2 産生増大による IP 受容体刺激を介していることが示唆された.また,培養ヒト網膜血管内皮細胞に NOR3 を添加すると,PGE2 ではなく,PGI2 が産生された.この結果は,in vivo の成果を支持するものであると言える.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した平成24年度の研究実施計画に従い,予定通りに検討し,一定の成果が得られている.
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今後の研究の推進方策 |
正常時網膜循環調節機構の解明を進めていき,さらに糖尿病病態時の網膜循環障害機序を解明するため,in vivo 及び in vitro 実験を行う. (1) 網膜循環調節機構に関与する EDHF の同定: in vivo による検討を引き続き行い,網膜血管内皮細胞を介した拡張機序の詳細を明らかにする. (2) Beta2 及び beta3 受容体刺激による網膜血管拡張機序の相違解明:Beta 受容体刺激による血管拡張はadenylyl cyclase (AC)-cAMP 経路を介するが,AC-cAMP 非依存性経路の存在も示唆されている.糖尿病ラットで観察される Beta2 及び beta3 受容体を介した反応性の低下の相違を明らかにするために,これら受容体刺激後の作用機序について in vivo で検討する. (3) 糖尿病ラットにおける網膜循環障害機序の解明:本検討によって明らかとなった EDHF による網膜血管拡張反応性が,糖尿病ラットにおいて変化するか否かを検討する.また,得られた結果を分子レベルで裏付けるための in vitro 実験も適宜行う. (4) 糖尿病ラットにおける網膜循環障害の予防・治療実験: EDHF の候補因子の発現が糖尿病ラットで減少している場合は,候補因子の分解抑制酵素や増強薬などを病態発症以前から投与し,病態発症 2 週間後に ACh による網膜血管拡張反応の減弱が改善されるか否かについて検討する.また,BKCa チャネル機能障害を保護するような薬物の探索も試みる.網膜血管反応性の検討以外にも,網膜神経を形態学的に評価し,糖尿病や緑内障モデルラットで観察される網膜神経細胞の脱落や網膜神経層厚の減少に対する候補薬物の影響についても観察する.予防実験により良い結果が得られた場合,治療実験も実施する.
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次年度の研究費の使用計画 |
引き続き行う正常時網膜循環調節機構の解明に加え,糖尿病病態時の網膜循環障害機序を解明するために in vivo 及び in vitro 実験を行う.予算はこれら検討を実施するための実験動物,実験試薬,抗体などの消耗品に主に使用する.また,研究成果を学会や学術誌に発表するためにも用いる予定である.
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