研究課題/領域番号 |
24590128
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
長澤 一樹 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (30228001)
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研究分担者 |
西田 健太朗 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (20533805)
松尾 剛明 立命館大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (60612702)
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キーワード | 受容体 / P2X7 / アストロサイト / スプライスバリアント / 食作用 |
研究概要 |
今年度は、①外来遺伝子発現系としてHEK293T細胞を用いたP2X7受容体の機能に対するスプライスバリアント共発現の影響、②培養アストロサイトへのP2X7受容体スプライスバリアント強制発現によるその活性への影響、③アストロサイトの食作用活性制御へのP2X7受容体の関与、④ストレス負荷されたアストロサイトにおけるP2X7受容体及びそのスプライスバリアントの発現変動の可能性について検討した。 ①では、HEK293T細胞に発現させたP2X7受容体の活性は、そのスプライスバリアント2及び3を共発現させることにより低下したことから、②では、P2X7受容体の活性が高く、スプライスバリアント2及び3の発現が低いSJL系培養マウスアストロサイトにそれらスプライスバリアントを強制発現させた。その結果、SJL系マウス由来アストロサイトにおけるP2X7受容体の活性は有意に低下した。③このようなアストロサイトにおけるP2X7受容体のspontaneousな活性化の生理的意義の一端を調べるために、その食作用を両マウス由来アストロサイト間で比較した。P2X7受容体活性の高いSJL系マウス由来アストロサイトの食作用活性は、P2X7受容体活性の低いddY系の場合よりも高かった。また、④において、過酸化水素及びcAMP処理により活性化状態とした培養アストロサイトにおけるP2X7受容体及びそのスプライスバリアントの発現を調べたところ、mRNAレベルにおいてそれらの発現が変動する傾向にあること、並びにP2X7受容体の細胞内局在が変化する可能性を示す結果が得られた。 以上の成績から、アストロサイトにおけるP2X7受容体のspontaneousな活性は、少なくとも一部そのスプライスバリアントの発現によって負に制御されること、そしてP2X7受容体はアストロサイトの食作用活性を制御していることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in vitro系の実験計画はほぼ計画通りに進行しているが、ex vivo系に関しては、実験系の確立に時間を要しており、計画より遅れているのが現状である。そのため、概ね順調と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度では、ストレス負荷状態のアストロサイトにおけるP2X7受容体及びそのスプライスバリアントの発現変動をタンパク質レベルで精査し、その機能性の変動、さらには食作用への影響を評価する予定である。またこれらin vitroの実験結果に基づき、in vivo系でのP2X7受容体を介したアストロサイトの機能制御に対するストレス負荷の影響を検討する予定である。
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