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2012 年度 実施状況報告書

リゾホスファチジン酸受容体のシグナル異常とがん

研究課題

研究課題/領域番号 24590129
研究種目

基盤研究(C)

研究機関近畿大学

研究代表者

福嶋 伸之  近畿大学, 理工学部, 講師 (10254161)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードリゾホスファチジン酸
研究概要

リゾホスファチジン酸(LPA)は多様な生理活性を示す脂質メディエーターであり、その作用はLPA受容体(LPA1~LPA6)を介して生じる。これまでLPAシグナルががん発生・増殖・進展に関与していることが示唆されており、がん治療の新規標的と考えられている。しかしながら、LPAシグナル変動とがんの関連について、その詳細は未だ不明である。本研究では、(1)われわれが見出した4種類のLPA1変異体(Phe295Ser、Pro308Ser、Ile310Thr、Tyr311His)の機能解析、(2)LPA1のC末端と結合する分子の同定を試みた。
(1)変異体の機能解析;4種類のLPA1変異体はいずれもcAMP産生抑制作用を示さないか、極めて弱い作用を示すのみであった。Rhoの活性化の程度も野生型より弱いものであった。また、Pro308Ser、Ile310Thr、Tyr311Hisの3種類は細胞膜上における発現量の低下を示したのみならず、小胞体へ蓄積していた。しかしながら、いずれの変異体も野生型と同様にアゴニスト刺激により細胞内への取込みを示した。これらのことはLPA1変異体が異常な細胞内分布を示し、その情報伝達も破綻していることを示唆している。
(2)LPA1のC末端と結合する分子の同定;当該分子を精製し、アミノ酸分析を行ったところ、14-3-3εであることが分かった。しかしながら、免疫沈降により14-3-3εがLPA1と結合しているかどうかを調べたが、LPA1C末端欠損体においても結合が見られたことから、LPA1C末端との特異的結合とは考えられなかった。むしろ、C末端欠損体と結合する分子が複数認められた。このことは、LPA1C末端欠損体とこれらの分子との相互作用が細胞の恒常的活性化に関わっている可能性を示唆している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

LPA1変異体の情報伝達機構の解析のうち、Ca動員作用、MAPキナーゼ活性化作用は検討を始めているが、まだ結論が出ていない。細胞増殖や細胞運動性の解析も同様である。これらの進捗がやや遅れているのは、変異体が小胞体に蓄積することを見出したため、この解析に時間を割いたためである。
LPA1C末端と相互作用する分子の解析では、複数の分子(14-3-3、カルネキシン)を同定したものの、いずれも目的とする特異性の高い分子ではなかったため、その後の解析に進むことができなかった。

今後の研究の推進方策

Ca動員作用、MAPキナーゼ活性化作用、細胞増殖や細胞運動性の解析はいずれも数ヶ月で結論を出すことが可能である。さらに、変異体が小胞体ストレスを引き起こしているのかどうかを、新たなテーマとして解析していく。培養細胞を用いた変異体の機能解析を収束させていく。
LPA1のC末端と結合する分子の解析では、今後、別法により検討を進めるが、概要に記したように恒常的活性化型であるLPA1C末端欠損体と結合する分子の機能を検討することも考慮する。

次年度の研究費の使用計画

該当なし

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ラットがん組織から見出されたLPA1変異体の機能解析2012

    • 著者名/発表者名
      石井 章一, 辻内 俊文, 福嶋 伸之
    • 学会等名
      第85回日本生化学会大会
    • 発表場所
      福岡国際会議場(福岡県)
    • 年月日
      20121216-20121216

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公開日: 2014-07-24  

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