• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

リゾホスファチジン酸受容体のシグナル異常とがん

研究課題

研究課題/領域番号 24590129
研究機関近畿大学

研究代表者

福嶋 伸之  近畿大学, 理工学部, 准教授 (10254161)

キーワードリゾホスファチジン酸 / 脂肪酸 / 受容体 / がん細胞 / 変異体
研究概要

リゾホスファチジン酸(LPA)は多様な生理活性を示す脂質メディエーターであり、その作用はLPA受容体(LPA1~LPA6)を介して生じる。これまでLPAシグナルががん発生・増殖・進展に関与していることが示唆されており、がん治療の新規標的と考えられている。しかしながら、LPAシグナル変動とがんの関連について、その詳細は未だ不明である。本研究では、われわれが見出した4種類のLPA1変異体(Phe295Ser、Pro308Ser、Ile310Thr、Tyr311His)の機能解析を行った。また、LPAの分解により産生される脂肪酸が卵巣がん細胞の成長に関わることを見出した。
(1)変異体の機能解析;4種類のLPA1変異体はいずれもcAMP産生抑制作用を示さないか、極めて弱い作用を示すのみであった。Rhoの活性化の程度も野生型より弱いものであった。Ca動員作用はPhe295Ser、Pro308Serは野生型と同様の反応を示したが、Ile310ThrおよびTyr311Hisでは野生型よりも低いものであった。Pro308SerおよびTyr311HIsの発現は野生型のそれよりも低かった。これらのことから、LPA1変異体は発現レベル、細胞内分布に異常が生じ、情報伝達も破綻していることを示唆している。
(2)脂肪酸の作用解析;卵巣がん細胞HNOAは無血清下で培養すると細胞死を示す。LPAのみならず、その構成成分であるオレイン酸を加えると、細胞死が抑制された。さらにHNOA細胞に[3H]-LPAを加えると、約1時間以内にその80%以上が[3H]-オレイン酸に変換されることが分かった。細胞膜上にLPAを分解するリパーゼ活性が存在すること、産生された脂肪酸が細胞成長に影響することが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

LPA1変異体による情報伝達系活性化の解析はほぼ終了したが、C末端領域に結合する分子の単離同定は一時中断した。これはいくつか同定した分子のいずれもが特異的結合を示す結果が得られなかったためである。また、本実験遂行中に、LPAの分解がメディエーター産生機構であるという、新規脂質情報伝達系を示唆する結果を得たため、これに関する実験を進めたことが理由である。

今後の研究の推進方策

LPA1変異体による情報伝達系活性化や細胞内分布に関して論文を作成する。
今期新たに明らかにした、新規脂質情報伝達系の解明を進める。具体的には、LPA分解酵素の単離同定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Extracellular lipid metabolism influences the survival of ovarian cancer cells.2013

    • 著者名/発表者名
      Kuwata, S., Ohkubo, K., Kumamoto, S., Yamaguchi, N., Izuka, N., Murota, K., Tsujiuchi, T., Iwamori, M. and Fukushima, N.
    • 雑誌名

      Biochem. Biophys. Res. Commun.

      巻: 439 ページ: 280-284

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2013.08.041.

    • 査読あり
  • [学会発表] LPA1の変異は小胞体への蓄積と情報伝達の異常を生じる2013

    • 著者名/発表者名
      石井章一、辻内俊文、福嶋伸之
    • 学会等名
      第86回日本生化学会大会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      20130911-20130913
  • [学会発表] 脂肪酸による卵巣がん細胞HNOAの細胞死抑制機構2013

    • 著者名/発表者名
      福嶋伸之、辻内俊文、岩森正男
    • 学会等名
      第86回日本生化学会大会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      20130911-20130913
  • [図書] Lysophospholipid Receptors2013

    • 著者名/発表者名
      Fukushima, N.
    • 総ページ数
      793のうち20ページ
    • 出版者
      Wiley

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi