リゾホスファチジン酸(LPA)は多様な生理活性を示す脂質メディエーターであり、その作用はLPA受容体(LPA1~LPA6)を介して生じる。これまでLPAシグナルががん発生・増殖・進展に関与していることが示唆されており、がん治療の新規標的と考えられている。本研究では、がん組織で発現しているLPA1変異体が異常な細胞内分布を示すこと、その情報伝達も破綻していることを見いだした。また、卵巣がん細胞におけるLPAの作用を検討したところ、LPAシグナルの結果と思われていたがん細胞に対する作用の一部が、その構成成分である脂肪酸に由来するという、新たな知見を得た。
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