研究課題/領域番号 |
24590136
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 星薬科大学 |
研究代表者 |
杉田 和幸 星薬科大学, 薬学部, 教授 (60542090)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | タンパク質間相互作用 / Cotylenin / 14-3-3タンパク質 / PCSK9 / LDL受容体 |
研究概要 |
タンパク質間相互作用(PPI)の制御法の開発を目標として、まずPPIを安定化するCotyleninの全合成を実施している。昨年度は、Cotyleninの2つのパーツそれぞれについて、ラセミ体と、望む立体とは逆の配置のものではあるが、合成することができた。更に2つのパーツについて、塩基性条件下でのアルドール反応を実施した結果、カップリング反応はきれいに進行し、目的物を得ることに成功した。現在スケールアップを実施中で、脱水反応、8員環形成反応を検討している。また、シュガーパートの合成についても検討している。これまで本骨格をもつ化合物の合成例がほとんどないことから、まずは目的のシュガーパートの骨格の合成を目標に合成を実施し、これまでのところ、カップリングに必要な片方のパートの合成をほぼ終了しつつある。完了し次第、他方のパートの合成を検討する予定である。 LDL受容体の分解を促進するPCSK9とLDL受容体の結合を阻害する小分子の設計、創製と機能解析を目的として、昨年度はまず設計を実施した。申請者自身の所属が移動したことから、研究が遅れているが、ベンゼン環と脂溶性のシクロヘキサン環を結合させた母核を採用し、水素結合が形成できる極性ユニット、ソルトブリッジできるユニットを導入した構造を設計し、ドッキングスタディーを実施している。本研究を実施するためのプラットフォームとして、寄付金を使用して計算ソフト「Discovery Studio」をあらたに購入し、これを計算に使用している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年2012年10月に東京大学分子細胞生物学研究所分子標的薬剤設計研究分野より、星薬科大学薬品製造化学教室へ教授として赴任した。移動にともない、引っ越し、諸手続き、研究環境の整備、新研究室の残存教員の研究課題へのマンパワーの供給維持、研究の移管手続き、新規研究者の配属待ち、教育等のために研究が遅れている。しかしながら、2月より新たに学部学生、4月より大学院生を迎えて研究を再開し、現在精力的に課題を遂行している。
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今後の研究の推進方策 |
Cotyleninの全合成研究については、一方はラセミ体、他方は望む立体とは逆の配置ながら2つのパートの合成をそれぞれ終了し、カップリング反応が進行したことから、望む立体の光学活性体を用いての合成を開始している。目的の立体配置を有する光学活性なパーツの合成ルートをいくつか考案済であり、できるかぎり短行程の合成を目指す。同時に、現行のラセミ体での合成のスケールアップ反応をおこなって、8員環の閉環反応を早期に検討し、合成法の妥当性の検証を早期に行いたいと考えている。Cotyleninのシュガーパートの合成については、一方のパーツ合成を終了した後に他方のパーツの合成を開始する。他方のパーツの合成についてもいくつかの合成法を考案済であるが、どのルートにおいても不斉合成反応を用いる予定である。さらに、研究者が増え次第、より構造を簡素化した化合物のデザインおよび合成にも着手する。 PCSK9とLDL受容体の結合を阻害する小分子に関する研究については、RMS値を指標にして、高い結合阻害作用が期待できる分子構造をいくつか選抜し、合成を実施する予定である。可能であれば、本年度中に結合阻害作用についてのアッセイを実施したい。活性が確認できた場合は、企業を含めて外部研究機関との共同研究を実施し、in vivoでの効果を検証する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
Cotylenin合成用の試薬および消耗品を購入する。また、次年度中にCotyleninの全合成が終了した場合は誘導体の合成用試薬を購入する。さらに合成した誘導体の生物活性評価のための生化学用試薬を購入する。また、研究成果発表のための論文投稿費、校閲費、学会参加用旅費等に使用する。 PCSK9結合阻害分子の研究においては、阻害分子合成用の試薬および消耗品費として使用する。誘導体合成後は、阻害作用評価の生化学実験用試薬、消耗品購入のために使用する予定である。
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