研究課題
ステロイドホルモンは、固有の核内受容体を介して特異的遺伝子発現を制御し、個体の成長や恒常性に重要な働きをしている。近年、ステロイドホルモン受容体をはじめとする種々の核内受容体機能の破綻や異常が、がん、自己免疫疾患、生活習慣病、脳機能疾患といった現在社会における様々な難治性疾患の発症や治療と密接に関与していることが明らかにされ、新たな臨床応用の可能性が指摘されている。本研究では、ステロイドホルモン受容体の機能を厳密に制御する新規モデュレーターや機能解析のための蛍光プローブ等を創製し、ステロイドホルモン受容体を標的とする医薬開発基盤を構築することを目的とする。本年度は以下の研究成果を得た。1)新規アンドロゲン受容体アンタゴニストの創製:申請者は、これまで、7-アリールクマリン誘導体が、アンドロゲンのアンタゴニストとなり、また受容体結合に伴い、蛍光強度が増大する蛍光性リガンドとなることを示してきた。今回、6位置換基に着目し、6-アリールアミドクマリン誘導体を設計、合成した。その結果、6位にcis型のN-メチルアミド結合で芳香環を連結したクマリン誘導体にアンドロゲンアンタゴニスト活性を見いだした。2)新規プロゲステロン受容体アンタゴニストの創製:上記6-アリールアミドクマリン誘導体の活性評価の過程で、6位にスルフォンアミド結合で芳香環を連結したクマリン誘導体がアンドロゲン受容体には結合しないが、プロゲステロン受容体アンタゴニストとなることを見いだした。6位に二級アミド、N-メチルアミド、スルフォンアミドを持つ化合物の結晶構造解析から、アンドロゲン、プロゲステロン受容体に親和性を持つ化合物の立体構造が異なることがわかった。また、カルボランを含有するプロゲステロン受容体リガンドの光学分割を行い、絶対構造を決定するとともに、エナンチオマーの構造と活性に関する知見を得た。
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