研究概要 |
平成25年度は、平成24年度に実施したanti-morphine MAb交差反応性を利用した、競合的ELISAにより選別したPetrosia sp., Callyspongia sp. 海綿より単離した、3種の新規ポリアセチレン、meso-adociacetylene D, (3R,28R)-adociacetylene D, 3-ketoadociacetylene Dと5種の既知ポリアセチレン、adociacetylene A, (3S,28S)-adociacetylene D, petrosynol, 15,16-dihydropetrosynone, 3,28- diketopetrosynol を用いた構造活性相関を検討した。その結果、活性発現に必須構造がアルキル鎖(炭素数8以上)の末端に4-ene-1-yne-3-oneユニットを有することを明らかにした。更に、この情報を基に、分子両末端に4-ene-1-yne-3-oneを結合したC20のビスアセチレンを合成し、競合的ELISAにより活性を評価した結果、天然物よりも強力な活性を確認した。更に、この合成誘導体を用い、MAb結合阻害様式判別試験を行った結果、合成誘導体が抗体ではなく、抗原であるmorphineに直接結合することで、抗原-抗体反応を阻害するという興味ある知見を得た(現在論文投稿準備中)。また、海綿Haliclona sp. より活性化合物として単離したPapuamine およびHaliclonadiamineについては、各種試験に供する収量が低いため、新たに採取した同海綿より原料供給を行った。更に、上記2種のアルカロイドについてMAb結合阻害様式判別試験を行った結果、結合阻害様式はビスアセチレン類とは異なり、抗体であるanti-morphine MAbに作用し、抗原-抗体反応を阻害することを明らかにした。
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