研究課題/領域番号 |
24590142
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
梅澤 直樹 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (40347422)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 環状ペプチド / 光応答性 / ペプチド / 光切断性アミノ酸 |
研究概要 |
本研究の目的は、ペプチド機能を光制御する簡便な手法の確立である。申請者は、ペプチドを環状化することで機能を制御する「環状化戦略」を提案しており、環状ペプチドに光切断性アミノ酸を導入することで、光応答性ペプチドを開発できる。本戦略に基づき、光応答性環状マトリクスメタロプロテアーゼ-3阻害ペプチドの開発に成功しているが、①光切断性アミノ酸に由来する欠点、②環状ペプチドの合成に由来する欠点、の2つの欠点が明らかとなった。平成24年度は、新規光切断性ユニットの開発を進めた。 申請者が用いた光切断性ユニットFmoc-Anp-OHは、光切断性を示し、かつ固相合成に適用可能な唯一のアミノ酸であるが、光切断後、かさ高い構造がペプチド鎖に残ってしまう。そのため、光切断後の直鎖ペプチドの活性が弱い。また、光切断により生じるニトロソ基は反応性が高く、タンパク質等の生体試料との反応が懸念される。そこで、①光切断後かさ高い構造をペプチド鎖中に残さない、②反応性の高いニトロソ基を生成しない、③ペプチド固相合成に耐える、という性質を持つ新規光切断性ユニットを開発することとした。 そこで、自己分解型ユニットをもつ光切断性アミノ酸を設計した。設計したアミノ酸は、光照射後、光切断性ユニット由来の構造が全く残らないと期待される。Fmoc固相合成に適した保護基をもつ新規光切断性ユニットを、11工程で合成することに成功した。光切断性ユニットはFmoc固相合成に適用でき、環状ペプチドへの導入が可能であった。 環状ペプチドの水溶液に光照射し、光分解生成物をHPLCおよびMALDI-MSを用いて検討した。その結果、光照射時間依存的に目的とする直鎖ペプチドを与えた。だが、光分解速度が遅い、副反応が進行する、という問題点も同時に明らかとなった。現在、光分解速度が早い光切断性アミノ酸の開発、光反応条件の最適化、を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した研究目的は、「研究期間内に、①光切断性ユニット、②効率的なペプチド環状化反応、を開発し、環状化戦略を確立する」ことである。光切断性ユニットは、その機能に欠点を有するものの、開発に成功している。また、ペプチド環状化反応についても、完全に新規な方法とはいえないが、効率的な方法を見出しつつある。今後、これらの知見をもとに、改良法の検討・最適化を進めることで、研究目的を期間内に達成できると考えている。 以上の理由から、本研究の現在までの達成度は、「(2)おおむね順調に進展している」と評価する。
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今後の研究の推進方策 |
交付申請書に記載した内容に基づき、今後も光切断性ユニットの開発と効率的なペプチド環状化法の開発を進める。 光切断性ユニットの開発については、光分解速度が早い光切断性アミノ酸の開発を進める。開発した光切断性アミノ酸の光分解反応の律速段階を特定し、律速段階を加速できる構造修飾を行なう予定である。並行して、光切断機構が全く異なる光切断性ユニットの開発も進めていきたい。 ペプチド環状化法については、現在良好な結果が得られつつある方法を中心に、主として化学選択的反応を検討していく。エピメリ化などの副反応にも留意して検討を進める。 合成するペプチド配列は、マトリクスメタロプロテアーゼ-3阻害ペプチド(RCGVPD)を中心に検討する。光切断性ユニットおよびペプチド環状化法の開発が完了したら、多様なペプチド配列で環状化戦略の蓋然性を検討していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度では、977,000円の次年度使用額が生じた。この原因は、平成24年度途中に、当初想定していなかった研究資金の受け入れが決定したためである。平成25年度は、ペプチド合成も頻繁に行なっていく予定であり、高価な試薬類を必要とする。そのため、「次年度使用額」は、主として物品費に充当する予定である。
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