研究課題/領域番号 |
24590142
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
梅澤 直樹 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (40347422)
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キーワード | 環状ペプチド / 光切断性アミノ酸 / 光応答性 / ペプチド / ケージド化合物 |
研究概要 |
本研究の目的は、ペプチド機能を光制御する簡便な手法の確立である。申請者は、ペプチドを環状化することで機能を制御する「環状化戦略」を提案しており、環状ペプチドに光切断性アミノ酸を導入することで、光応答性ペプチドを開発できる。本戦略に基づき、光 応答性環状マトリクスメタロプロテアーゼ-3阻害ペプチドの開発に成功しているが、①光切断性アミノ酸に由来する欠点、②環状ペプチドの合成に由来する欠点、の2つの欠点が明らかとなった。平成25年度は、新規光切断性アミノ酸の開発と最適な環状ペプチド合成法の探索を並行して進めた。 昨年度までに、①光切断後かさ高い構造をペプチド鎖中に残さない、②ペプチド固相合成に耐える、という本目的に適した性質を持つと期待される「新規光切断性ユニット」を開発した。本年度は、合成した光切断性ユニットの物性を詳細に検討した。光切断性ユニットはFmoc固相合成に適用でき、環状ペプチドへの導入が可能であった。環状ペプチドの緩衝液溶液に光照射し、光分解生成物をHPLCおよびMALDI-MSを用いて検討した。その結果、光照射時間依存的に目的とする直鎖ペプチドを与えたが、光分解速度が遅い、副反応が進行する、という問題点が明らかとなった。分子設計を見直し、新たな光切断性ユニットを合成した結果、ある程度の光分解速度の向上に成功したが、改善の余地を残す結果であった。そのため、継続して光切断性ユニットの改良を進めている。 本年度は、環状ペプチドの合成法を検討した。環状ペプチドの合成によく用いられる方法である、①クロロアセチル基とシステインの反応、②閉環メタセシス反応、③アスパラギン酸を用いる方法、の3種類を中心に検討した。反応収率と簡便さの観点から、アスパラギン酸を用いる方法が本研究に最も適することが明らかとなった。今後、本手法を用いて環状ペプチドを合成する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した研究目的は、「研究期間内に、①光切断性ユニット、②効率的なペプチド環状化反応、を開発し、環状化戦略を確立する」ことである。 光切断性ユニットは、その機能に欠点を有するものの、プロトタイプの開発に成功している。種々誘導体を合成することで、光切断速度および副反応に影響を及ぼす部分構造についての知見も蓄積されつつある。これらの知見を活用することで、優れた機能をもつ光切断性ユニットの開発が期待できる。 ペプチド環状化反応については、結果的に新規な方法ではなかったが、高収率かつ簡便な方法を見出すことができた。 最終年度に、光切断性ユニットの最適化に注力することで、研究目的を期間内に達成できると考えている。 以上の理由から、本研究の現在までの達成度は、「(2)おおむね順調に進展している」と評価する。
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今後の研究の推進方策 |
交付申請書には、光切断性ユニットの開発と効率的なペプチド環状化法の開発を行なうと記載している。すでにペプチド環状化法については優れた方法を見出すことに成功したため、今後は光切断性ユニットの改良に注力する予定である。 光切断性ユニットの開発については、種々誘導体を合成したことで、光分解反応の律速段階が推定されている。今後は、律速段階を加速する構造修飾を進める予定である。並行して、光切断機構が全く異なる光切断性ユニットの開発も進めていく。 光切断性ユニットの開発が完了したら、マトリクスメタロプロテアーゼ-3阻害ペプチド(RCGVPD)を中心に光切断前後の阻害能や立体構造を精査する。さらに、多様なペプチド配列で環状化戦略の蓋然性を検討していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年に、当初想定していなかった研究資金の受け入れが決定したため、977,000円という次年度使用額が生じた。平成25年度の次年度使用額は、532,208円であり、平成24年度分の約半分を使用したことになる。試薬類の購入に加え、学生の学会参加旅費などに充当した。 平成26年度は、保護アミノ酸を導入した光切断性ユニットの開発や環状ペプチド合成を進めるため、高価な試薬類を必要とする。そのため、「次年度使用額」は、主として物品費に充当する予定である。
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