研究課題/領域番号 |
24590143
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北薬科大学 |
研究代表者 |
吉村 祐一 東北薬科大学, 薬学部, 准教授 (00230813)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | nucleoside / nucleotide / antiviral |
研究概要 |
新規抗HIV性ヌクレオシドおよびPNA合成素子としてデザインしたジヒドロピラニル基を疑似糖部として有するヌクレオシド誘導体の合成を検討した。cis-1,4-Dihydroxybutadieneを出発原料とし、水酸基のp-メトキシベンジル基(PMB)基による保護、エポキシ化、さらに有機銅試薬を利用したビニル基の導入を行い、ビニル体へ誘導した。2級水酸基をアリル化し、閉環メタセシス(RCM)反応とウィルキンソン触媒による二重結合の異性化を行い、ジヒドロピラン誘導体を合成した。同誘導体に対して、新たに当研究室で開発したジフェニルジゼレニドと超原子価ヨウ素試薬を用いるグリコシル化反応を行い、2'-フェニルセレノヌクレオシドを合成した。同誘導体は、対応するセレノキシド誘導体へと導いた後、脱離反応を行いジヒドロピラノヌクレオシドへと誘導した。 また、alpha-L-2'-デオキシ-2'-ヒドロキシメチルトレオペントフラノシルヌクレオシドのラセミ合成も検討した。trans-2-Butene-1,4-diolから得られるエポキシアルコールを、ビス(フェニルチオ)メタンのリチオ体と処理し、疑似糖部のアノマー炭素に相当するC1ユニットを導入した。さらに、水酸基を選択的にアシル化した後、NBS処理と引き続くアセチル化によりトレオペントフラノースを得た。得られたトレオペントフラノースは、シリル化した塩基との間でルイス酸触媒によるグリコシル化反応を行い、目的とするトレオペントフラノシルヌクレオシドへと導いた。同誘導体は、様々なヌクレオシド誘導体を合成する上で有用なシントンとなることが期待される。その具対的な応用例として新規ヌクレオシドホスホネート誘導体の合成を目指し、得られたトレオペントフラノシルヌクレオシドの2級水酸基へのメチルホスホネートユニットの導入を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究では、核酸医薬に適した新たな機能性ヌクレオシドの設計と合成を目的とし、今年度はジヒドロピラノヌクレオシドを標的分子の合成を中心に検討を行った。研究の過程で、グリカール誘導体を糖供与体とし、ジフェニルジゼレニドと超原子価ヨウ素試薬を用いる新規グリコシル化反応の開発に成功した。同反応を用い、目的とするジヒドロピラノヌクレオシドの基本骨格の合成を達成した。また、本来は次年度検討予定であったalpha-L-2'-デオキシ-2'-ヒドロキシメチルトレオペントフラノシルヌクレオシドの合成についても検討を行うことができた。こちらについても大きな進展があり、グリコシル化反応の際、疑似糖部保護基の隣接基関与を利用することで、目的とするトレオペントフラノシルヌクレオシドを立体選択的に合成することに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
研究成果で述べたように、平成24年度にジヒドロピラノヌクレオシ類の合成を達成しているが、得られた化合物はウラシル誘導体である。抗HIV活性を含む生物活性評価を目的とした場合、活性発現がより期待できるシトシン誘導体の合成が必要となる。平成25年度では、得られたウラシル誘導体のシトシン誘導体への変換を行い、得られたシトシン誘導体の抗HIV活性評価を行う予定である。 また、トレオペントフラノシルヌクレオシドについても、ヌクレオシド骨格の合成を達成しており、メチルホスホネートユニットの導入について引き続き検討を行い、目的とするヌクレオシドホスホネート誘導体の合成を達成し、合わせて抗ウィルス活性評価を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度への繰り越し金が5,893円生じているが、これについては次年度物品費と合わせて、試薬等の消耗品購入に充てる予定である。
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