研究課題/領域番号 |
24590143
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研究機関 | 東北薬科大学 |
研究代表者 |
吉村 祐一 東北薬科大学, 薬学部, 教授 (00230813)
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キーワード | ヌクレオシド / 抗HIV活性 / スタブジン / グリコシル化反応 |
研究概要 |
新規抗HIV性ヌクレオシドとしてデザインしたジヒドロピラノヌクレオシドについて、平成24年度に引き続き合成を検討し、シチジン誘導体の合成を達成した。同誘導体の抗HIV活性について、共同研究者の今道博士に評価を行ってもらったが、残念ながら活性は認められなかった。なお、これら一連の結果については、専門誌(Synthesis)に投稿し既に公表済みである。さらに、同誘導体の合成過程で開発した超原子価ヨウ素を利用した酸化的グリコシル化反応の有用性を明らかにするため、抗HIV薬であるスタブジンの合成に応用した。また、新規抗HIV薬として4'置換スタブジンの合成を新たに企画し、現在、酸化的グリコシル化反応の基質となる4置換グリカール誘導体の合成を検討している。 また、前年度までに合成を達成したトレオペントフラノシルヌクレオシドについて、塩基部の保護を経て、糖部2級水酸基へのメチルホスホネートユニットの導入を行った。得られた誘導体の塩基部をシトシンに変換した後、リン酸残基の保護基をトリメチルシリルヨージドにより脱保護し、目的とするトレオペントフラノースを疑似糖部とするシチジンアルキルホスホネート誘導体の合成を達成した。先のジヒドロピラノシチジン誘導体と同様、抗HIV活性の評価を行ったが、やはり抗HIV活性は認められなかった。シチジンアルキルホスホネート誘導体の合成については、Tetrahedron Lettersに公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
残念ながら抗HIV活性を有する化合物は得られなかったものの、当初計画した化合物の合成はラセミ体については予定通り完了した。しかし、ジヒドロピラノヌクレオシドの不斉合成は現時点でまだ達成できていない。その一方で、一連の合成研究で見出した酸化的グリコシル化反応については、4'置換スタブジン誘導体合成への応用が見込めるなど、その展開が期待される。
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今後の研究の推進方策 |
前述のとおり、ジヒドロピラノヌクレオシドの合成研究で見出した酸化的グリコシル化反応については、4'置換スタブジン誘導体合成へ応用し、新規抗HIV性ヌクレオシドの創製を目指す。また、平成26年度においては、当初から計画していた3'-デオキシ-4'-チオヌクレオシドの合成を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の計画より物品費の支出が少なかったため、次年度繰越金が生じた。これは、当初計画していたヌクレオシド誘導体の合成のうち、ジヒドロピラノヌクレオシドの不斉合成が現段階で未達成になっているためである。 次年度使用額50,962円については、次年度物品費として試薬等の消耗品購入に充てる予定である。
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